今回は都心部・臨海地域地下鉄について、中央区、東京都と国土交通省のWeb資料及び、Wikipediaの情報をもとに検討します。
<概略>
都心部・臨海地域地下鉄構想は、東京都心部と臨海副都心を結ぶ地下鉄の構想です。交通政策審議会答申第198号で、国際競争力の強化に資する鉄道ネットワークのプロジェクトとして位置付けられた後、交通政策審議会答申第 371 号にて、「今後、臨海部の都市づくりとともに、常磐新線いわゆるつくばエクスプレスの延伸との接続も含め、事業化に向けて関係者による検討の深度化を図るべき」とされていました。
2022年11月に公表された東京都の都心部・臨海地域地下鉄構想 事業計画検討会による事業計画案によると、都心部の起終点を東京駅の八重洲口、臨海部の起終点を有明・東京ビッグサイト駅の6.1kmとし、途中に新銀座、新築地、勝どき、晴海、豊洲市場の5駅を設けるとしています。(駅名はすべて仮称)東京駅では秋葉原駅からの延伸計画がある常磐新線いわゆるつくばエクスプレスと、有明・東京ビッグサイト駅では羽田空港アクセス線との接続を今後検討するとしています。建設費は事業主体の保有設備等により増減があるものの、約4200億円から5100億円とされています。費用対効果は1.0以上で、30年以内で累積資金収支が黒字になるとされています。
<結論>
・東京駅を起点、有明・東京ビッグサイト駅を終点とする6.1kmの路線が計画されている。
・つくばエクスプレス延伸や、羽田空港アクセス線との接続が検討されている。
<ルート・駅位置>
起点;東京(仮称)
終点:有明・東京ビッグサイト(仮称)
全長:約6.1km
中間駅:新銀座(仮称)、新築地(仮称)、勝どき(仮称)、晴海(仮称)、豊洲市場(仮称)
駅間距離:東京から新銀座間 約1.0km
新銀座から新築地間 約1.6km
新築地から勝どき間 約0.6km
勝どきから晴海間 約0.7km
勝どき晴海から豊洲市場間 約1.1km
豊洲市場から有明・東京ビッグサイト間 約1.1km
<位置づけ>
東京臨海部の位置付けとして、2021年3月の『未来の東京』戦略において、臨海部では区部中心部との近接性、国内外の玄関口、東京2020大会のレガシーの集積等の強みを生かし、世界から人と投資を呼び込み、東京と日本の持続的成長を牽引する未来創造域が形成されるという将来像が示されています。また、都心部・臨海地域地下鉄の必要性という観点では、2021年3月の東京ベイeSGまちづくり戦略2022で、本路線は「区部中心部と開発が進む臨海地域とをつなぐ基幹的な交通基盤、言わば背骨としての役割」が期待されています。「大いなるポテンシャルを有するベイエリアの鉄道網を充実させ、東京を持続可能な都市にし、日本の成長を確かなものとしていく上で重要」な路線 として、「区分B 2040年までの実現を目指す取組(取組の特性により一部未着手・制度構築等を含む。)」 に位置付けられています。
<事業性等>
概算事業費:約4,200~5,100億円(税込)(事業主体の保有設備等により増減)
費用対効果:B/C 1 以上
収支採算性:累積資金収支黒字転換年30年以内
事業スキーム:地下高速鉄道整備事業費補助または都市鉄道利便増進事業費補助を想定
報道によれば、2030年頃着工、2040年頃開業を予定している。
<今後の検討事項>
国際競争力強化の拠点であるつくば国際戦略総合特区と臨海部との対流促進が図れるとともに、事業性の向上も見込まれるため、常磐新線いわゆるつくばエクスプレス延伸との接続を今後検討するとしています。運輸政策審議会答申第18号フォローアップ調査結果によれば、つくばエクスプレスの東京駅は丸の内側に計画されていますが、都心部・臨海地域地下鉄の東京駅は、八重洲側に計画されています。つくばエクスプレスと東京駅でどの様に接続されるのか注目されます。
また、臨海部や首都圏の国際競争力をより強化するため、羽田空港への接続を今後検討するとしています。羽田空港方面へ接続する場合、有明・東京ビッグサイト駅が、りんかい線の国際展示場駅と並行に設けられる可能性も考えられます。
<まとめ>
・2022年11月に公表された、東京都の都心部・臨海地域地下鉄構想事業計画案は、東京駅を起点、有明・東京ビッグサイト駅を終点として6.1kmの路線が計画されている。
・着工は2030年頃、開業は2040年頃が想定されている。
・常磐新線いわゆるつくばエクスプレス延伸との接続の検討が行われている。
・羽田空港アクセス線臨海部ルートとの接続の検討が行われている。
―以上―
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