外環の2【東京都市計画道路幹線街路外郭環状線の2進捗状況】

 今回は、東京都市計画道路幹線街路外郭環状線の2について、東京都と通過する市区のWeb資料及び、Wikipediaの情報を基に検討します。

<概略>

 東京都市計画道路幹線街路外郭環状線の2は、東京都世田谷区北烏山から練馬区東大泉に至る都市計画道路です。外環の2、または外環ノ2と略されることが多いです。東京外かく環状道路の一般道路部として都市計画決定済みであり、大深度地下に建設中の自動車専用部、いわゆる東京外環自動車道延伸区間の地上部に建設される計画となっており、その一部が事業化されていますが、計画の見直しを含めた議論が起こっています。

 外環ノ2は、自動車専用道路である都市高速道路外郭環状線いわゆる外環道と同時に都市計画決定された一般道路で、1966年の都市計画決定当初は外環ノ2の中央に外環道が高架構造で建設される構造となっていました。その後、1970年の根本龍太郎建設大臣による外環道のいわゆる「凍結宣言」により外環道・外環ノ2の事業化は30年以上見送られていましたが、1999年に石原慎太郎都知事が外環道について、地下化により事業化を目指すことを表明。2007年4月の都市計画決定で、外環道が地下構造に変更されました。新しい計画では、外環道の本線は大深度地下構造とされ、インターチェンジやジャンクションの周辺のみに地上区間が存在します。本線は用地買収の必要の無い大深度地下にシールド工法など地上掘削を行わない工法で施工されています。このため、2001年に外環道の計画検討のたたきを示した「計画のたたき台」では、地上部の利用は現状のままにする図面も、地上部の利用を検討するためのメニューの1つとして提示されていました。

 その一方、外環ノ2は東京都道であることから、国の事業である外環道の議論では結論が先送りにされており、外環道の都市計画変更の際には外環ノ2は変更されず当初計画のままとなりました。但し、外環ノ2に含まれない東八道路以南の附属街路いわゆる側道については計画が廃止されました。従って、現状では外環道の計画変更にかかわらず道路区域内の建築制限は解除されていないため、外環ノ2の都市計画も見直しの必要があり、その後、外環ノ2の見直しが議論提起されると、一部から反発の声が上がりました。今回は、事業化されている練馬区を中心に道路の概要を確認していきます。

<結論>

・練馬区を通る区間は、事業化又は事業化に向けた測量を実施しているが、事業自体の進捗は遅い。

・練馬区以外の区間が、事業化する見通しは今のところ無い。

<道路の概要>

起点:東京都世田谷区北烏山5丁目

終点:東京都練馬区東大泉2丁目

総延長:約9.0 km

 東京都は環境として緑地の整備など、防災として延焼遮断帯としての位置づけ、交通として生活交通ネットワークの再検討、暮らしとして公共交通網の整備の4つのキーワードを掲げ検討を進めるとしています。また、外環道の事業主体である国土交通省は、外環道の将来交通量予想においては外環ノ2が整備されるケースを基本としつつ、外環ノ2がない場合の検討も並行して行っていました。通過する自治体のうち、練馬区は積極的に事業を推進していますが、杉並区、武蔵野市、三鷹市での整備は、反対の意見もあり、事業化の見通しは立っていません。

<練馬区区間>

青梅街道から千川通り間(青梅IC付近)

 青梅街道ICの事業化と共に、取り付け道路の計画が事業化されており、用地取得が始まっていますが、2022年1月時点での用地取得率は、IC部分を含め33%となっています。

延長:約500m

構造:地表式(平面構造)インターチェンジ部分は地下

車線:2車線

千川通りから新青梅街道間

 西武新宿線上石神井駅と交差する千川通りから新青梅街道間は、2014年11月に東京都により鉄道の立体化を前提にした都市計画の変更が決定され、2018年12月25日に東京都が、国から都市計画事業の認可を取得し、事業に着手しました。また上石神井駅周辺では、交通広場のスペースが確保されています。一部、用地取得が行われています。

延長:約800m

幅員:22m(標準)

構造:地表式(平面構造)

車線:2車線

新青梅街道から大泉街道間(石神井台)

 東京都市計画道路幹線街路外郭環状線の2(石神井台)として、事業化に向けた測量が行われています。ごく一部で用地取得も行われています。

延長:約2,040m

幅員:22m(標準)

構造:地表式(平面構造)

車線:2車線

大泉街道から目白通り間

 東京都は2012年9月27日付で、外環ノ2の一部区間である、練馬区石神井町8丁目から同区東大泉2丁目までの延長1 kmの区間について事業に着手しています。用地取得はほぼ完了しているとみられ、最も進捗の良い区間になります。

延長:約1,000m

幅員:40m(標準)

構造:地表式(平面構造)

車線:2車線

<その他の区間>

 外環の2の計画区間のうち、杉並区、武蔵野市、三鷹市の区間は、都市計画として必要性は確認できていますが、現状に合わせた都市計画変更する事を東京都が企画しています。しかしながら、杉並区や武蔵野市で行われている「地上部街路に関する話し合いの会」において、近年進捗は見られず、都市計画変更の見通しは立っていません。今のところ、この区間が事業化する可能性は当面無いと考えられます。

<まとめ>

練馬区を通る区間は、ほとんどの区間が事業化又は事業化に向けた測量を実施している。

・青梅街道IC付近は事業化して時間がたっているが用地取得率は30%程度しかない。

・杉並区、武蔵野市、三鷹市の区間は、都市計画変更が行われておらず、事業化の見通しは立っていません。

―以上―

コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です