今回は、新湘南バイパスのⅡ期区間について、国土交通省のWeb資料及び、Wikipediaの情報を基に検討します。
<概略>
新湘南バイパスは、神奈川県藤沢市から茅ヶ崎市、平塚市の市街地を迂回して神奈川県中郡大磯町に至る一般国道1号・一般国道468号のバイパスで、中日本高速道路株式会社管轄の一般有料道路です。自動車専用道路に指定されているため、排気量125 cc以下の二輪車は通行禁止となっています。
藤沢インターチェンジから茅ヶ崎ジャンクション間は首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の一部を構成しますが、千葉東金道路二期区間のように道路名は変更されていません。高速道路ナンバリングによる路線番号は、圏央道の一部を構成している藤沢IC – 茅ヶ崎JCT間を圏央道と同じ「C4」、それ以外の茅ヶ崎ジャンクションから茅ヶ崎海岸インターチェンジ間及び未開通区間の茅ヶ崎海岸インターチェンジから仮称大磯インターチェンジ間は西湘バイパスとともに「E84」が割り振られています。今回は、Ⅱ期区間の進捗を中心に確認していきます。
<結論>
・事業遅延理由は、大規模物件の用地代替え要望への検討・調整が挙げられており、茅ヶ崎市のゴルフ場の移転が完了すれば、事業が進む可能性もある。
<道路の概要>
起点 : 神奈川県藤沢市城南
終点 : 神奈川県中郡大磯町大磯
総延長 : 15.1 km(うち有料事業区間:14.3km)
規格 : 第1種第3級
設計速度 : 80 km/h
車線数 : 4車線
供用済区間(有料道路区間のみ)
起点 : 神奈川県藤沢市城南(藤沢インターチェンジ)
終点 : 神奈川県茅ヶ崎市柳島(茅ヶ崎海岸インターチェンジ)
総延長 : 8.8 km
Ⅰ期区間
起点 : 神奈川県藤沢市城南
終点:茅ヶ崎市下町屋(茅ヶ崎西インターチェンジ)
総延長 : 8.4 km
Ⅱ期区間
起点:茅ヶ崎市下町屋(茅ヶ崎西インターチェンジ)
終点:中郡大磯町大磯(仮称大磯インターチェンジ)
総延長 : 6.7km(供用済み:1.2km、事業中:5.5km)
<未開通区間>
未開通区間の5.5kmの区間に設けられる主な設備は、大磯方面出入り口の仮称平塚インターチェンジ、藤沢方面出入り口の仮称大磯インターチェンジ及び、仮称平塚料金所が設けられる計画です。
茅ヶ崎海岸インターチェンジから西へカーブして湘南大橋へ向かうルート上にはゴルフ場があります。そのゴルフコースの移設先となる用地を確保するため、相模川河畔スポーツ公園を茅ヶ崎市柳島向河原地区へ移設する計画が立てられ、2018年3月25日には移設先の柳島スポーツ公園が開園しています。2019年3月には相模川河畔スポーツ公園も閉鎖され、公園跡地の堤防整備事業が行われていました。
一方、国道134号の湘南大橋は、上下2車線での暫定供用を経て、2010年3月28日に上下4車線で開通しました。高浜台交差点以西は2車線のままでしたが、神奈川県はバイパスが延伸されるまでの暫定措置として高浜台交差点以西の4車線化を決定。2015年3月に工事が完了し供用を開始しました。この事業は新湘南バイパスとは直接関連なく、あくまで国道134号の国道整備の一環です。
新湘南バイパスの4車線は湘南大橋の上り線上部に覆い被さるよう増設される計画ですが、詳細設計の見直し(耐震性の問題等)が終わっていないため、着工の見通しは未定です。完成すれば現状の一般道路往復4車線から自動車専用道路を合わせた8車線に拡大され、ボトルネックが解消することになります。
湘南大橋より西の区間では、沿線住民の反対(構造の安全性や景観が悪くなる)が根強く、着工に至っていません。ただ、国道1号・国道134号の慢性的な渋滞のため、西湘バイパスまでの建設を望む声は平塚市民も含め、周辺住民より多数存在します。反対派住民からは半地下構造が提案されましたが、平塚海岸に近く川も多い地形で技術的に容易でないことから、国土交通省は難色を示しています。横浜国道事務所は暫定4車線化の結果も踏まえ、新湘南バイパスの延伸部分の詳細な設計を検討するとしています。
<今後の見通し>
2022年度に行われた事業再評価によれば、神奈川県茅ヶ崎市下町屋から神奈川県中郡大磯町大磯までの、延長6.7kmに対して、全体事業費が約890億円、事業進捗率が2022年3月時点で42%、供用済延長1.2kmとなっています。計画交通量は25,900~35,200台/日の計画です。事業の進捗状況と残事業の内容等に関しては、今後、設計協議、関係事業者との調整を実施、引続き用地取得を推進するとあります。茅ヶ崎西ICから茅ヶ崎海岸IC間の1.2kmについては1995年度に供用開始しました。2022年3月末時点までの用地取得率は87%となっています。事業の進捗が順調でない理由については、「大規模物件の用地代替え要望への検討・調整を実施しており、引き続き鋭意推進していく。」と記載されており、茅ヶ崎市の用地取得がネックとなっていることを示唆しています。
<まとめ>
・Ⅱ期区間の事業進捗率は、2022年3月時点で42%、供用済延長1.2kmとなっている。
・Ⅱ期区間の用地取得率は、2022年3月末時点までで87%。
・事業の進捗が順調でない理由は、大規模物件の用地代替え要望への検討・調整が理由に挙げられている。
・茅ヶ崎市のゴルフ場の移転が完了すれば、事業が進む可能性もある。
―以上―
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