関越自動車道【渋滞対策の進捗】

 今回は、関越自動車道の渋滞対策の進捗について、NEXCO東日本と国土交通省のWeb資料及びWikipediaの情報を基に検討します。

<概略>

 関越自動車道は、東京都練馬区の練馬インターチェンジから埼玉県、群馬県を経由し新潟県長岡市の長岡ジャンクションへ至る高速道路、高速自動車国道です。略称は関越道、関越と呼ばれ、高速道路ナンバリングによる路線番号は「E17」が割り振られています。また、東京都を起点として、新潟県新潟市および上越市を終点とする国土開発幹線自動車道および高速自動車国道の名称としても用いられます。

 関越自動車道は、国道17号および、上越新幹線とほぼ並行しています。三国山脈を貫いて東京と新潟県を結ぶ高速道路であり、上越新幹線とともに首都圏と日本海側を結ぶ高速交通網として重要な機能を持ちます。また、藤岡ジャンクションから上信越自動車道が分岐しており、首都圏と長野県北信地方・東信地方を結ぶ高速交通網の一部でもあります。日本有数の豪雪地帯を貫いており、沿線には多くのスキー場が存在し、首都圏とこれらのスキー場を結ぶ高速道路でもあります。このため、冬期に通行困難となる並行一般道救済のために追加設置されたインターチェンジが多くなっています。首都圏の放射方向の高速自動車国道の中では唯一、首都高速道路との直接接続がなく、首都高速道路へは大泉ジャンクションから東京外環自動車道を利用する必要があります。1994年に東京外環自動車道と接続されるまでは、特に冬季の練馬インターチェンジにおける大渋滞が慢性化していました。

 今回は、関越自動車道の渋滞対策の進捗状況について確認します。

<結論>

・現在計画されている付加線の設置工事が進んでいる。

・事業中の付加線設置完了後、上り、下り線共に鶴ヶ島ジャンクションを先頭とする渋滞の解消が今後の課題になるとみられる。

<渋滞の状況>

上り線:主に休日の午後において、坂戸西スマートインターチェンジ付近を先頭に約40kmの区間及び大泉ジャンクション付近で速度低下が発生。平日は、鶴ヶ島ジャンクションを先頭に渋滞が発生しています。

下り線:休日の早朝~正午頃において、坂戸西スマートインターチェンジ付近を先頭に約25kmの区間で速度低下が発生。鶴ヶ島ジャンクション合流で最も激しい渋滞が発生しています。

※ETC2.0プローブデータ 2018年7月

<渋滞の発生しやすい箇所>

上り線(東京方向)

主な渋滞発生区間が4箇所あります。

渋滞は6時から8時と15時から21時に発生しやすい傾向にあります。

・上り線 前橋インターチェンジ付近

前橋インターチェンジ手前のサグで気づかないうちに速度低下して渋滞発生。

サグ: 下り坂から上り坂にさしかかる所

・上り線 花園インターチェンジ付近

花園インターチェンジからの合流やサグで気づかないうちに速度低下して渋滞発生。

サグ: 下り坂から上り坂にさしかかる所

・上り線 高坂サービスエリア

高坂サービスエリアからの合流やサグで気づかないうちに速度低下して渋滞発生。

サグ: 下り坂から上り坂にさしかかる所

・上り線 練馬インターチェンジ

接続する道路の渋滞の影響で渋滞発生。

下り線(新潟方向)

主な渋滞発生区間が4箇所あります。

渋滞は6時から12時に発生しやすい傾向にあります。

・下り線 駒寄パーキングエリア付近

前橋インターチェンジの車線減少(3車線→2車線)の影響と、群馬バスストップ付近の上り坂で速度低下して渋滞発生。

・下り線 花園インターチェンジ

接続する道路の渋滞の影響と、花園インターチェンジ付近のサグで気づかないうちに速度低下して渋滞発生。サグ: 下り坂から上り坂にさしかかる所

・下り線 東松山インターチェンジ付近

東松山インターチェンジからの合流の影響と、上り坂で速度低下して渋滞発生。

・下り線 高坂サービスエリア

高麗川橋付近のサグで気づかないうちに速度低下して 渋滞発生。

サグ: 下り坂から上り坂にさしかかる所

<渋滞対策事業概要>

 関越道では、夏季混雑期、大型連休、行楽・スキーシーズンなど、交通量の多い時期に渋滞が発生しています。この主な原因は、本線の下り勾配から上り勾配への変化点(サグ部)で車の速度が低下することと、パーキングエリアやインターチェンジの分流、合流に車両が集中することです。ゆずり車線いわゆる付加車線の設置により走行車両が各車線に分散し渋滞の緩和が期待できます。

<渋滞対策事業箇所>

上り線

・渋川伊香保インターチェンジ(上り線)合流車線延伸 延長1.8km 2011年3月1日運用開始

・前橋インターチェンジ(上り線)出口車線延伸 延長1.2km 事業中

・前橋インターチェンジ(上り線)出口車線延伸 延長0.6km 2021年4月12日運用開始

・本庄児玉インターチェンジ(上り線)出口車線延伸 延長1.7km 2010年12月17日運用開始

・花園インターチェンジ付近(上り線)合流車線延伸 延長0.9km 2018年8月9日運用開始

・花園インターチェンジ付近(上り線)ゆずり車線 延長1.5km 2011年3月17日運用開始

・嵐山パーキングエリア付近(上り線)ゆずり車線 延長2.8km 2022年3月25日運用開始

・高坂サービスエリア(上り線)ゆずり車線 延長3.4km 事業中

・坂戸スマートインターチェンジ(上り線)ゆずり車線 延長1.3km 2013年8月9日運用開始

・鶴ヶ島インターチェンジ(上り線)ゆずり車線 延長1.9km 事業中

これらの付加線設置完了後に、上り線の渋滞ボトルネックが鶴ヶ島ジャンクションに移動する可能性もあると考えられます。

下り線

・花園インターチェンジ付近(下り線)出口車線延伸 延長0.9km 2018年12月14日運用開始

・高坂サービスエリア(下り線)ゆずり車線 延長1.3km 事業中

・坂戸スマートインターチェンジ(下り線)合流車線延伸 延長0.5km 2013年8月25日運用開始

下り線は計画中の付加線設置を完了しても、鶴ヶ島ジャンクションの激しい渋滞を解消するには至らないとみられます。

<大泉ジャンクションの渋滞対策>

 大泉ジャンクションでは東京外環道へ向かう車両が多いですが、本線から外環道方面へ抜ける車線が1車線しかなかったため、本線2車線から外環道へ抜けられるよう車線変更を完了させました。

<まとめ>

・計画されている付加線の設置は、すべての区間で完成もしくは事業中となっている。

・渋滞が最も激しい、高坂インターチェンジ付近への付加線設置工事の完成が最後になる。

・事業中の付加線完成後、上り線の渋滞は、ボトルネックが鶴ヶ島ジャンクションに移動する可能性もある。

・事業中の付加線が完成しても、下り線の鶴ヶ島ジャンクションの激しい渋滞を解消するには至らないとみられる。

―以上―

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