中央道渋滞対策【どこまで進んだ?】

 皆さんこんにちは。交通インフラ研究所です。今回は、中央自動車道の渋滞対策について、NEXCO中日本と国土交通省のWeb資料及びWikipediaの情報をもとに検討します。

<概略>

 中央自動車道は、中日本高速道路株式会社が管理している、東京都杉並区の高井戸インターチェンジから愛知県小牧市の小牧ジャンクション、および途中の山梨県大月市の大月ジャンクションで分岐して山梨県富士吉田市の富士吉田インターチェンジを結ぶ高速道路です。高速道路ナンバリングによる路線番号は、高井戸インターチェンジから岡谷ジャンクション間が「E20」、岡谷ジャンクションから小牧ジャンクション間が長野自動車道とともに「E19」、大月ジャンクションから富士吉田インターチェンジ間の富士吉田線が東富士五湖道路とともに「E68」と、それぞれ割り振られています。

中央道では、年末年始の帰省ラッシュや春、夏休みのレジャーシーズンになると必ず約30から60 kmの渋滞が発生してきました。そのためNEXCO中日本ではCM等の各種PR活動や、渋滞対策に取り組んできました。

車線増加工事は、かつての中央道の慢性的な渋滞に悩んでいた日本道路公団は、渋滞のポイントとして、帰省ラッシュやレジャーシーズンになるとラジオ等の交通情報で必ず名前の出ていた、鶴川大橋・中野トンネル・猿橋バスストップの3地点を含む上野原インターチェンジから大月インターチェンジ、ジャンクションの車線増と一部区間の改良工事を山梨県の協力を得て行いました。談合坂SA付近の上野原市野田尻地区では、カーブのきつい旧4車線区間を廃道とし、線形を改良した6車線の新道を通すなど大規模な工事が行われました。その結果、2001年に上野原インターチェンジから談合坂SAが、2003年には談合坂SAから大月インターチェンジがそれぞれ4車線から6車線化(一部区間7車線)の工事を完了、上野原インターチェンジから大月インターチェンジの渋滞は激減し、上記3地点も交通情報で取り上げられる事はほとんどなくなりました。この改良工事の結果、一部の旧ルートが廃道となりましたが、高速道路の廃道区間は全国でもここと名神高速道路の関ヶ原インターチェンジから米原ジャンクションの一部のみです。現在、市道転用されていない区間についてはNEXCO中日本の資材置き場となっています。また、相模湖東インターチェンジから小仏トンネルで上りのみ2車線から3車線化工事が完了しました。

今回は、第9回中央道渋滞ボトルネック検討WG資料から、小仏付近上り線、三鷹バス停付近上り線と相模湖付近下り線の渋滞対策の進捗について確認します。

<結論>

・小仏付近上り線と相模湖付近下り線は工事実施中だが、開通予定年度は未公表。

・三鷹バス停付近上り線で、線形改良により最小曲線半径を緩和して供用開始。付加車線の設置を計画中だが、東京外かく環状道路が完成しなければその効果は無い。

<中央道の交通状況>

上り線

・平日の交通量及び旅行速度(渋滞)の状況

2018年度と2020年度を比較すると、交通量が減少し、速度低下が発生する時間帯は一部短くなっているものの、小仏トンネルや三鷹バス停を先頭とする速度低下は引き続き発生。

・休日の交通量及び旅行速度(渋滞)の状況(観光シーズン7~10月)

2018年度と2020年度を比較すると、交通量が減少し、速度低下の規模は小さくなっているものの、小仏トンネルや三鷹バス停を先頭とする速度低下は引き続き発生。小仏トンネル付近では、観光シーズン(7~10月)において、依然として深刻な速度低下が発生 している。

下り線

・平日の交通量及び旅行速度(渋滞)の状況

2018年度と2020年度を比較すると、交通量は減少しているものの、速度低下が発生する時間帯、速度低下区間に大きな変化は見られない。

・休日の交通量及び旅行速度(渋滞)の状況(観光シーズン7~10月)

2018年度と2020年度を比較すると、交通量は減少しているものの、相模湖付近を先頭に速度低下が発生する時間帯、速度低下区間に大きな変化は見られない。相模湖付近では、観光シーズン(7~10月)において、依然として深刻な速度低下が発生 している。

<対策の進捗状況>

・小仏トンネル付近(上り線)

2015年より別線トンネルや車線運用の見直しによる付加車線約5kmの設置を実施中。現地においては、工事用道路工事及び本体工事を実施中。開通予定年度は未公表です。

・三鷹バス停付近(上り線)

三鷹バス停、三鷹本線料金所付近において、線形改良により最小曲線半径を緩和。また、三鷹バス停、三鷹本線料金所付近の約1kmで付加車線の設置を実施中。線形改良区間は2021年5月29日より運用を開始。渋滞していない時間帯において、約5km/hの速度改善効果を確認。上り線の付加車線設置については、道路概略設計が完了し、施工計画検討を実施中。

付加車線が完成しても、東京外かく環状道路と接続しなければボトルネックが東にずれるだけとなる。調布の陥没事故により、東京外かく環状道路の完成が見通せないため、完成しても当面効果は無い。

・相模湖付近(下り線)

 相模湖付近(下り線)については、2017年より付加車線約2kmの設置を実施中。JR中央線との近接箇所においては、現地測量及び防護工新設のための設計を完了。JRとの工事細目協定を締結し、防護工設置工事に着手。

また、地元関係者へ工事計画について説明し、下部工工事にも着手。その他の工事は発注に向けて詳細設計及び施工計画検討を実施中。開通予定年度は未公表です。

<まとめ>

・小仏付近上り線は、工事用道路工事及び本体工事を実施中ですが、開通予定年度は発表されていない。

・三鷹バス停付近の上り線で、線形改良により最小曲線半径を緩和し、2021年から供用開始。

・三鷹バス停付近の上り線の付加車線の設置は、施工計画を検討中だが、東京外かく環状道路の完成までは付加車線の効果は無い。

・相模湖付近下り線は、付加車線設置工事を実施中ですが、開通予定年度は発表されていない。

-以上-

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