今回は西九州新幹線の武雄温泉から長崎間について、鉄道建設・運輸施設整備支援機構とJR九州のWeb資料及びWikipediaの情報をもとに検討します。
<概略>
西九州新幹線は、佐賀県武雄市の武雄温泉駅と長崎県長崎市の長崎駅を結ぶ、九州旅客鉄道の新幹線です。福岡市の博多駅と長崎市の長崎駅を結ぶ整備新幹線計画、九州新幹線西九州ルートのうち、武雄温泉から長崎駅間がフル規格新幹線として先行整備され、2022年9月23日に武雄温泉駅で在来線とフル規格新幹線の対面乗り換え方式により開業しました。同計画の中では武雄温泉駅から長崎駅間の西九州新幹線は暫定開業という位置付けですが、西九州新幹線としては武雄温泉駅以東への延伸は佐賀県との議論が進まず、現時点で未定となっています。
開業効果は、博多から長崎間の時間短縮効果が約30分で、在来線のJR特急かもめの場合で最速1時間50分から、開業後に最速1時間20分となり。佐賀から長崎間の時間短縮効果が約30分で、在来線のJR特急かもめの場合で最速 1時間12分から、開業後に最速 44分となっています。営業キロは69.6 km、実距離66 kmという距離は、全国の新幹線において回送線を除き最短となっています。
<結論>
・各駅のホーム長は6両編成対応だが、長崎駅は山陽新幹線直通用に8両編成対応に改造出来るとみられる。
・武雄温泉から長崎間で追い越しを行うことはできない。
<路線概要>
(武雄温泉駅 – 長崎駅の暫定開業部分に限る)
営業主体:九州旅客鉄道(JR九州)
建設主体:鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)
路線距離(実キロ):66.0 km(営業キロは69.6 km)
駅数:5(起終点駅含む)このうち、新幹線単独駅は嬉野温泉駅のみ。
複線区間:全線複線
電化区間:武雄温泉駅 – 長崎駅:交流25,000 V (60 Hz)
最高速度:260 km/h(武雄温泉駅 – 長崎駅)
最小曲線半径:4,000m
最急勾配:30‰
軌間:1,435 mm(標準軌)
車両基地:熊本総合車両所大村車両管理室
保線基地:新幹線部新大村新幹線工務所
乗務員基地:長崎総合乗務センター
運転指令所:博多総合指令センター(新幹線総合指令室)
列車運行管理システム:九州新幹線指令システム
<運行体系>
武雄温泉 – 長崎間:44本(武雄温泉でリレーかもめに接続。)
新大村 – 長崎間:3本
<路線構造>
切土、盛土:5.3km(7.9%)
橋りょう:7.1km(10.6%)
高架橋:13.6km(20.3%)
トンネル:41.0km(61.2%)
高架橋標準幅:11.2m
トンネル断面:幅約9.5m、高さ約7.7m
<駅構造>
武雄温泉駅:相対ホーム2面2線(在来線特急と対面乗り換え)
嬉野温泉駅:相対ホーム2面2線(新幹線単独駅)
新大村駅:相対ホーム2面2線(在来線との接続あり)
諫早駅:相対ホーム2面2線(在来線との接続あり)
長崎駅:島式ホーム2面4線(在来線との接続あり)
ホーム長は6両編成対応の160m。長崎駅は山陽新幹線直通に対応して8両編成対応に改造出来る余地があるとみられる。
※中間駅での追い越しは出来ない構造となっています。
<大村車両基地>
基地延長:約1.0km
最大幅員:約170m
総面積:約10.9万㎡(保守基地部分を含む)
所在地:長崎県大村市竹松町
留置線:2線
仕交検線:2線
全検整備線:1線
転削線:1線
臨修線:1線
台振線:1線
解体線:1線
引上線:1線
車体検修線:1線
<まとめ>
・武雄温泉駅以東の佐賀県区間の建設は、現在のところ実現のめどが立っていない。
・最急勾配は新幹線としては比較的きつい30‰となっているため、東海道新幹線で運行されている車両は走行できない。
・区間内の駅に追い越し設備は無く、武雄温泉から長崎間で追い越しを行うことはできない。
・各駅のホーム長は6両編成対応の160mだが、長崎駅は山陽新幹線直通を見据えた8両編成対応に改造出来る余地はあるとみられる。
・他の新幹線と接続しておらず、区間内にある車両整備拠点は新大村駅の北方に設けられた大村車両基地のみである。
-以上-
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