今回は、東京外かく環状道路の東名高速~湾岸道路間について、関係自治体と国土交通省のホームページ資料及びWikipediaの情報を基に検討します。
<概略>
首都圏において、都心部から放射状に伸びる道路に比べて、それらを連結する環状道路の整備が遅れていることが、東京の慢性的渋滞の一因になり、日本の首都機能にとって弱点となっています。東京外かく環状道路は、この問題を解決するために計画された道路です。
東京外かく環状道路は、東京都大田区から埼玉県を経て千葉県市川市に至る延長約85kmの道路です。首都圏における高速道路計画3環状9放射のうちの一つであり、首都高速中央環状線、首都圏中央連絡自動車道と合わせて首都圏3環状道路と総称される都心から約15 kmの環状道路です。東京の周りを取り囲んで、湾岸線、第三京浜、東名高速、中央道、関越道、東北道、常磐道、京葉道路、東関東道を相互に接続する計画ですが、現在開通している自動車専用部は、大泉ジャンクションから高谷ジャンクションまでの区間です。
都市計画道路として決定されたこともあり、東京、千葉、埼玉の各区間に分けられます。東京区間は関越から東名間で、2007年4月に都市計画変更決定し事業中です。東名高速以南 については、調査中となっています。埼玉区間は、大泉ジャンクションから埼玉県、東京都境間で、東京外環自動車道及び国道298号として開通済みです。千葉区間は、埼玉県、東京都境から高谷ジャンクション間で、東京外環自動車道及び国道298号として開通済みです。
主たる事業主体は国土交通省であり、高速道路は東日本高速道路が中央ジャンクションから高谷ジャンクション間、中日本高速道路が東名ジャンクションから中央ジャンクション間を施工しています。
「東京外かく環状道路」は高速道路部、すなわち自動車専用部と一般道路部の総称です。自動車専用部の供用区間は、「東京外環自動車道」の路線名を用いていますが、「東京外かく環状道路」と「東京外環自動車道」のどちらも外環あるいは外環道と略称されます。今回は自動車専用部の東名高速以南について取り上げます。
<結論>
・東名JCTから昭和島JCTに接続する案と、大師JCTに接続する2案が検討されている。
・2019年6月以降は、事業化に向けた目立った動きは無い。
<東名高速以南概略>
東名高速道路から南は、予定路線に位置付けられていますが計画が具体化されておらず詳細は未決定です。この区間の整備により交通が転換し、都心部の渋滞緩和が期待されています。また、首都直下地震等の災害時の際は緊急物資の輸送拠点である東扇島地区から内陸部へのアクセス向上及びリダンダンシーの確保がされ、緊急輸送機能の強化も期待されます。2016年2月、東京都などの要望を受け、計画の具体化に向け国土交通省、東京都、川崎市を構成員とする「東京外かく環状道路(東名高速〜湾岸道路間)計画検討協議会」が設立されることになりました。
ルートについては、1号羽田線昭和島ジャンクションに接続して東海ジャンクションで湾岸線に接続する案と、1号横羽線大師ジャンクションに接続して川崎縦貫道路から川崎浮島ジャンクションで湾岸線及び東京湾アクアラインに接続する案の2つが検討されています。また、2つの案の両方とも第三京浜道路に接続することが検討されています。東京外かく環状道路(東名高速~湾岸道路間)計画検討協議会は、2019年6月に開催されて以降開催されておらず、事業化に向けた目立った動きはありません。
<ルート詳細>
案1:東京側で湾岸道路に接続
(1号羽田線昭和島ジャンクションに接続し、東海ジャンクションで湾岸線に接続)
事業性(用地取得等) 昭和島ジャンクション付近では、大規模な土地の改変が必要。
川崎縦貫道路計画との関係:東京側を通るため川崎縦貫道路計画との一本化は図れない。
第三京浜との接続:東京側で第三京浜に接続(第三京浜との接続位置第三京浜玉川IC付近)
中間IC:大田区付近
案2:川崎側で湾岸道路に接続
(1号横羽線大師ジャンクションに接続し、川崎浮島ジャンクションで湾岸線に接続)
事業性(用地取得等)大師ジャンクション付近では、川崎縦貫の空間を活用することが可能。
川崎縦貫道路計画との関係:川崎市内を縦貫し大師ジャンクションと接続するため川崎縦貫道路計画との一本化が図れる。
第三京浜との接続:川崎側で第三京浜に接続(第三京浜玉川料金所付近)
中間IC:川崎市付近
<構造など>
・外環道(東名高速~湾岸道路間)の構造については、大都市部での事例を参考に、地下式、掘割式(半地下式)、高架式が考えられています。
・コントロールポイントとして、文化財指定された史跡などが点在していますが、ポイント数は、川崎市が少なくなっています。
<まとめ>
・東京外かく環状道路(東名高速~湾岸道路間)計画検討協議会は、2019年6月に開催されて以降開催されておらず、事業化に向けた目立った動きは無い。
・東名ジャンクションから1号羽田線昭和島ジャンクションに接続して東海ジャンクションで湾岸線に接続する案と、1号横羽線大師ジャンクションに接続して川崎縦貫道路から川崎浮島ジャンクションで湾岸線及び東京湾アクアラインに接続する案の2つが検討されている。
・第三京浜との接続と、中間インターチェンジの設置が検討されている。
・周辺に文化財に指定された史跡が点在しており、構造は地下式が有力とみられ、文化財の分布が比較的少ない、川崎市側が有力と考えられる。
-以上-
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