今回は、新東名の海老名以東について、神奈川県と国土交通省のホームページ資料及びWikipediaの情報を基に検討します。
<概略>
道路名「新東名高速道路」は一般公衆に案内されている通称で、法令による国土開発幹線自動車道の予定路線名では「第二東海自動車道」、高速自動車国道法に基づく正式な路線名では「第二東海自動車道横浜名古屋線」と称します。予定路線の第二東海自動車道の起点は東京都世田谷区の仮称玉川インターチェンジですが、新東名高速道路は首都圏中央連絡自動車道と接続する海老名南ジャンクションが起点、豊田東ジャンクションが終点となっており、海老名南ジャンクション以東の具体的な経路や開通時期は未定です。また、第二東海自動車道の終点は名古屋市の名古屋港金城ふ頭に所在する名港中央インターチェンジですが、豊田東ジャンクションから名港中央インターチェンジ間は、名港中央インターチェンジから四日市ジャンクション間と合わせ伊勢湾岸自動車道として供用中です。
海老名南ジャンクション以東は計画・調査中ですが、国土交通省の資料によると起点が東京都世田谷区の仮称玉川インターチェンジで、東京外かく環状道路に接続します。途中、仮称横浜泉ジャンクションで計画中の横浜環状道路西側区間と接続し、海老名南ジャンクションに至る計画です。同資料によれば、玉川インターチェンジから横浜泉ジャンクションの距離は36キロメートル、横浜泉ジャンクションから海老名南ジャンクションの距離は10キロメートルとなっています。なお、起点の「玉川インターチェンジ」は既に第三京浜道路に同名のインターチェンジがありますが、国土交通省の資料が示す玉川インターチェンジと同一であるかは不明です。
途中のインターチェンジの数・位置などは未定で、神奈川県の自動車専用道路網構想での路線名は武相幹線。日本高速道路保有・債務返済機構の資料では、東名高速道路と横浜新道及び第三京浜道路の概ね中間を通り、東京都内にて東京外かく環状道路に接続するように記載されていますが、海老名南ジャンクション以東の都市計画決定はされておらず、詳細な経路は不明です。
<結論>
・横浜環状道路西側区間と共に仮称横浜泉ジャンクションから海老名南ジャンクションまでが先に事業化されるとみられる。
・仮称玉川インターチェンジから仮称横浜泉ジャンクション間の事業化は当面無いとみられる。
<NEXCO中日本資料の想定ルート>
『高速自動車国道路線図 近畿自動車道名古屋神戸線 近畿自動車道名古屋関線』と言う中日本高速道路株式会社四日市工事事務所が2019年3月に発効した冊子の路線図によると、現在、新東名高速道路の起点となっている海老名南ジャンクションから東側の大まかなルートが描かれています。そのルートによれば、第三京浜道路の玉川インターチェンジ付近を起点として、東名高速道路と横浜新道及び第三京浜道路の概ね中間を南西に進みます。横浜市泉区付近で方向を変え、海老名南ジャンクションに向けて西に向かうルートが示されています。
国土交通省の資料によれば、横浜市泉区付近に仮称横浜泉ジャンクションが設けられ、計画中の横浜環状道路西側区間と接続する計画となっています。玉川インターチェンジから横浜泉ジャンクションの距離は36キロメートル、横浜泉ジャンクションから海老名南ジャンクションの距離は10キロメートルと記載されていますが、詳細な道路構造等は明らかになっていません。
<神奈川県資料からの想定ルート>
2021年6月に作成された神奈川県広域道路交通計画には、計画の具体化が望まれる自動車専用道路として、新東名高速道路の海老名南ジャンクション以東と横浜環状道路西側区間が挙げられています。しかし、新東名高速道路は海老名南ジャンクションから泉区付近に設置される仮称横浜泉ジャンクションで横浜環状道路西側区間に接続される様な図が示されており、泉区付近から仮称玉川インターチェンジ間は取り上げられていません。整備の順序としては、海老名南ジャンクションから泉区付近で横浜環状道路西側区間に接続する仮称横浜泉ジャンクションまでが先行整備される可能性が高く、横浜環状道路西側区間と並行する区間は、横浜環状道路西側区間と一体整備が検討される可能性もあると考えられます。
<今後の見通し>
東名高速道路の東京インターチェンジから厚木インターチェンジ間の交通量は、東名高速道路の中で最も多く、この区間のバイパス線の必要性はそのほかの区間より高いとみられます。よって、この区間に並行する新東名高速道路の海老名南ジャンクション以東の計画が凍結される可能性は低いとみられますが、住宅地を貫くため事業化にはかなりの時間を要するとみられます。
新東名高速道路の海老名南ジャンクション以東の区間の建設は調査中となっており、当面事業化されないとみられます。海老名南ジャンクションから東側へ向かう自動車専用道路は、既存の東名高速道路、または一部建設中の圏央道を経由して湾岸線方面に向かうルートが考えられ、当面この2ルートの自動車専用道路が、新東名高速道路海老名南ジャンクション以東の自動車交通の受け皿になると考えられます。
<まとめ>
・中日本高速道路株式会社作成の資料によると、東京都の玉川インターチェンジ付近から仮称横浜泉ジャンクションを通って海老名南ジャンクションに至るルートが記載されている。
・神奈川県の広域道路計画には、海老名南ジャンクションから横浜環状道路西側区間に接続するルートが描かれ、横浜環状道路から東京方面への高速道路計画は存在しない。
・当面は現東名高速道路と神奈川県内の圏央道が新東名海老名以東の機能を代替えする。
・横浜環状道路西側区間の具体化と共に仮称横浜泉ジャンクションから海老名南ジャンクションまでが先に事業化されるとみられる。
・仮称玉川インターチェンジから仮称横浜泉ジャンクション間の事業化は当面無いとみられる。
-以上-
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