近畿自動車道紀勢線【三重県区間】

 今回は、近畿自動車道紀勢線の三重県区間について、NEXCO中日本と国土交通省中部地方整備局のホームページ資料及びWikipediaの情報を基に検討します。

<概略>

 近畿自動車道紀勢線は、大阪府松原市の松原ICから和歌山県を経由して、三重県多気郡多気町(たきちょう)勢和(せいわ)多気(たき)JCTに至る全長およそ340kmの高速自動車国道(自動車専用道路)です。

 そのうち三重県区間を勢和多気JCT側から確認していきます。勢和多気JCT – 尾鷲北IC間は紀勢自動車道の三重県区間で、三重県中部と東紀州(三重県南部)を結ぶ高速道路です。勢和多気JCTで伊勢自動車道に接続しています。2014年3月30日に三重県区間が全線開通しました。勢和多気JCT – 紀伊長島IC間は、NEXCO中日本管轄で有料区間です。紀伊長島IC以南は、高速道路会社によらない国と地方自治体の負担による新直轄方式で計画されているため、通行料金は無料です。

 尾鷲北IC – 尾鷲南IC間は熊野尾鷲道路(II期)で、延長5.4 kmの自動車専用道路が整備され、2021年8月29日に開通しました。尾鷲南IC – 熊野大泊IC間は、熊野尾鷲道路で延長18.6kmの自動車専用道路です。近畿自動車道紀勢線に並行する国道42号の自動車専用道路として整備されました。熊野大泊IC – 東紀州(紀南)広域防災拠点間は熊野道路で、近畿自動車道紀勢線に並行する国道42号の自動車専用道路として、2014年度に事業化され整備が進められています。東紀州(紀南)広域防災拠点 – 紀宝IC間は紀宝熊野道路で、近畿自動車道紀勢線に並行する国道42号の自動車専用道路として、2019年度に事業化され整備が進められています。紀宝IC – 新宮北IC間は新宮紀宝道路で、近畿自動車道紀勢線に並行する国道42号の自動車専用道路として、2013年に事業化され整備が進められており、2024年秋に全線開通予定です。

 これらの区間の、高速道路ナンバリングによる路線番号は、近畿自動車道紀勢線を形成するため「E42」が振られています。

<結論>

・近畿自動車道紀勢線の三重県区間は7割以上が開通している。

・未開通区間もすべて事業化しているが、大部分は開通予定年度が発表されていない。

<道路詳細>

・紀勢自動車道三重県区間

 三重県中部と東紀州(三重県南部)を結ぶ高速道路で、勢和多気JCTで伊勢自動車道に接続します。全線が国道42号にほぼ沿っており、山間部を通過するためトンネルが多くなっています。2006年3月11日に最初の供用を開始し、2014年3月30日の開通で、三重県区間が全線開通しました。豪雨・台風時に並行する国道42号が寸断されることがあるため、当道路の開通によって、東紀州の道路事情が大きく改善されました。

・路線データ

起点:三重県多気郡多気町丹生の勢和多気JCT

 終点:三重県尾鷲市坂場西町の尾鷲北IC

 延長:55.3km

幅員:10.5m(暫定2車線)

構造規格:第1種第3級

設計速度:80km/h(制限速度:70km/h)

車線数:暫定2車線

 中間IC:勢和多気IC、大宮大台(おおだい)IC、紀勢大内山IC、紀伊長島IC、海山(みやま)IC

備考:勢和多気JCT – 紀伊長島IC間が有料区間でNEXCO中日本管轄区間。

勢和多気JCT – 大宮大台IC間及び大宮大台IC – 紀勢大内山IC間の一部で

4車線化事業中。

・熊野尾鷲道路

 尾鷲市と熊野市を結ぶ国道42号と国道311号は雨の多い山間部を通り、土砂災害が発生しやすい構造であるため雨量規制区間が設けられています。大雨などにより通行規制や道路決壊が発生しその度に長時間交通が寸断され、物流や救急搬送に影響を及ぼしてきました。このため、高規格幹線道路として設計されている当道路は異常気象時や災害時などの代替路線として期待されています。

 2008年4月20日に尾鷲南IC – 三木里IC間が開通。伊勢神宮式年遷宮に間に合わせる形で、2013年9月29日に三木里IC – 熊野大泊IC間が開通。賀田ICについては開通時には尾鷲方面出入口のみのハーフインターチェンジとして供用を開始しましたが、2014年3月30日に熊野方面出入口も供用開始。尾鷲南IC – 熊野大泊IC間の開通により、国道42号の矢ノ川峠と佐田坂を回避できるようになり、尾鷲市と熊野市間のアクセスが向上しました。なお、2021年8月29日には尾鷲北IC – 尾鷲南IC間の熊野尾鷲道路II期区間が開通しました。

・路線データ

起点:三重県尾鷲市坂場西町の尾鷲北IC

 終点:三重県熊野市大泊町の熊野大泊IC

 延長:24.0 km

幅員:10.5m(暫定2車線)

構造規格:第1種第3級

設計速度:80km/h(制限速度:70km/h)

車線数:暫定2車線

 中間IC:尾鷲南IC、三木里IC、賀田IC、熊野新鹿IC

・熊野道路

 熊野大泊IC – 熊野市市街地間は幹線道路が国道42号のみで、南海トラフ巨大地震発生時に熊野道路と並行する区間の約7割が浸水することが想定されています。また、鬼ヶ城トンネル区間には有効な迂回路が存在しないため、災害時に東紀州南部地域の集落が孤立する可能性が高いことから、2014年度に熊野道路が事業化されました。なお、備蓄倉庫とヘリポートが設置されている「東紀州(紀南)広域防災拠点」を災害時に機能する高速道路ネットワークと接続させるため、終点は熊野ICではなく、東紀州(紀南)広域防災拠点とされています。

・路線データ

起点:三重県熊野市大泊町の熊野大泊IC

 終点:三重県熊野市久生屋町の東紀州(紀南)広域防災拠点

 延長:6.7km

幅員:12.0m

構造規格:第1種第3級

設計速度:80km/h

車線数:完成2車線

 中間IC:熊野IC

・紀宝熊野道路

 2019年3月1日に新規事業候補箇所の手続きを開始されることが国土交通省より発表され、同年3月29日に事業化が決定しました。今回の新規事業化で新宮道路と共に事業化されたため、紀伊半島を一周する高速道路のすべての区間が事業着手されることとなりました。整備効果として、ネットワーク強化による災害時の支援、救急医療活動の支援、地域産業の支援が期待されています。

・路線データ

起点:三重県熊野市久生屋町の東紀州(紀南)広域防災拠点

 終点:三重県南牟妻郡紀宝町神内の紀宝IC

 延長:15.6km

幅員:12.0m

構造規格:第1種第3級

設計速度:80km/h

車線数:完成2車線

 中間IC:御浜IC

・新宮紀宝道路

 和歌山県区間としても取り上げましたが、2013年に救急医療活動の支援、渋滞緩和、災害時の救命活動や地域復興支援の寄与などを目的に熊野川河口大橋を含む新宮紀宝道路が事業化されました。 2019年には、基本計画区間となっていた新宮紀宝道路に接続する両端の高速道路が事業化されたことで、紀伊半島一周の高速道路整備が決定しました。

新宮紀宝道路は2024年秋に全線開通予定です。

・路線データ

起点:三重県南牟婁郡紀宝(きほう)神内(こうのうち)の紀宝IC

終点:和歌山県新宮市あけぼのの新宮北IC

計画延長:2.4km

幅員:12.0m

構造規格:第1種第3級

設計速度:80km/h

車線数:完成2車線

 中間IC:紀宝南IC 新宮方面出入口

<まとめ>

・近畿自動車道紀勢線の三重県区間は、紀勢自動車道の三重県区間と熊野尾鷲道路の約80kmが開通済であり、残り約25kmの未開通区間が事業中です。

・紀勢自動車道の勢和多気JCTから大宮大台IC間及び大宮大台ICから紀勢大内山IC間の一部で4車線化事業を推進中です。

・未開通区間のうち新宮紀宝道路は2024年秋に全線開通予定ですが、熊野道路と紀宝熊野道路は開通予定年度が発表されていません。

-以上-

コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です