近畿自動車道紀勢線【和歌山県未開通区間】

 今回は、近畿自動車道紀勢線の和歌山県内の未開通区間について、NEXCO西日本と国土交通省近畿地方整備局のホームページ資料及びWikipediaの情報を基に検討します。

<概略>

 近畿自動車道紀勢線は、大阪府松原市の松原ICから和歌山県を経由して、三重県多気郡多気町(たきちょう)勢和(せいわ)多気(たき)JCTに至る全長340kmの高速自動車国道(自動車専用道路)です。

 そのうち和歌山県区間を大阪府側から確認していきます。松原IC – 有田IC間は阪和自動車道で有料区間として4車線で開通済みです。有田IC – 御坊IC間は湯浅御坊道路で並行する一般国道自動車専用道路の有料区間として4車線で開通済みです。御坊IC – 南紀田辺IC間は阪和自動車道で有料区間として開通済みです。御坊IC – 印南IC間は4車線、その他は2車線となっています。南紀田辺IC – すさみ南IC間は新直轄方式で整備され、紀勢自動車道の無料区間として2車線で開通済みです。すさみ南IC – 串本IC(仮称)間はすさみ串本道路で、並行する一般国道自動車専用道路として整備が進められています。串本IC(仮称) – 太地(たいじ)IC(仮称)間は串本(くしもと)太地(たいじ)道路で、並行する一般国道自動車専用道路として整備が進められています。市屋(いちや) – 新宮市三輪崎(みわさき)間は那智勝浦新宮道路で、並行する一般国道自動車専用道路として2車線で開通済みです。新宮市三輪崎 – 新宮北IC(仮称)間は新宮道路で、並行する一般国道自動車専用道路として整備が進められています。新宮北IC(仮称) – 紀宝IC(仮称)間は新宮紀宝道路で、並行する一般国道自動車専用道路として整備が進められています。

 今回は、未開通区間のすさみ串本道路、串本太地道路、新宮道路、新宮紀宝道路について検討します。

<結論>

・すさみ串本道路は2025年、新宮紀宝道路は2024年に開通予定。

・串本太地道路と新宮道路は開通時期未定で、全線開通の見通しは立っていない。

<道路詳細>

・すさみ串本道路

 和歌山県東牟婁(ひがしむろ)串本町(くしもとちょう)サンゴ台から西牟婁郡(にしむろぐん)すさみ町()(すみ)に至る予定の自動車専用道路です。近畿自動車道紀勢線に並行する国道42号の自動車専用道路として整備されています。高速道路ナンバリングによる路線番号は、近畿自動車道紀勢線を形成するため「E42」が割り振られます。

並行する幹線道路の国道42号は、南海トラフ巨大地震発生時は約6割の区間が浸水することが想定されています。また、同区間は台風による越波(えっぱ)や大雨による法面崩落によって通行規制が多発しています。これ以外にも線形が悪い箇所も存在し、災害時や緊急時の輸送・搬送に長時間をかけることになるため、国道42号の代替路を確保する必要性が浮上し、2014年度に事業化されました。2025年春に全線開通予定です。

・路線データ

起点:和歌山県東牟婁(むろ)郡串本町サンゴ台(串本IC)

終点:和歌山県西牟婁郡すさみ町()(すみ)(すさみ南IC)

計画延長:19.2km

幅員:12.0m(完成)

構造規格:第1種第3級

設計速度:80km/h

車線数:2車線(完成)

IC:すさみ南IC 和歌山方面出入口(既設)及び新宮方面入口

  和深IC 新宮方面出入口

  串本IC 和歌山方面出入口

・串本太地道路

 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町八尺(やた)鏡野(がの)から和歌山県東牟婁郡串本町(くじ)野川(のかわ)に至る予定の自動車専用道路です。近畿自動車道紀勢線に並行する国道42号の自動車専用道路として事業化されています。高速道路ナンバリングによる路線番号は、近畿自動車道紀勢線を形成するため「E42」が割り振られます。

 2018年度に南海トラフ巨大地震などの災害に対する道路ネットワークの確保や医療機関へのアクセス改善、観光振興を目的に事業化されました。串本太地道路が建設される地域の幹線道路は国道42号のみであり、当該区間は越波や大雨による交通規制が発生しており、南海トラフ巨大地震の発生時には津波浸水により通行不可能になることが予想されている。そのため、串本太地道路の全区間が南海トラフ巨大地震で予測される津波の高さ以上の場所に建設され、国道42号の代替路として安全性や信頼性を確保する道路となっています。また、すさみ串本道路(事業中)と那智勝浦新宮道路を接続するため、完成時には和歌山市から新宮市の和歌山県沿岸部が高速道路で接続されることになります。

・路線データ

起点:和歌山県東牟婁(むろ)郡那智勝浦町八尺(やた)鏡野(がの)(太地IC(仮称))

終点:和歌山県東牟婁郡串本町(くじ)野川(のかわ)(串本IC(仮称))

計画延長:18.4km

幅員:12.0m(完成)

構造規格:第1種第3級

設計速度:80km/h

車線数:2車線(完成)

IC:太地IC、古座川(こざがわ)IC、串本IC

・新宮道路

 和歌山県新宮市あけぼのから同市三輪崎に至る予定の、延長4.8キロメートルの自動車専用道路です。近畿自動車道紀勢線に並行する国道42号の自動車専用道路として整備されます。高速道路ナンバリングによる路線番号は、近畿自動車道紀勢線を形成するため「E42」が割り振られます。

 2019年に事業化が決定しました。紀宝熊野道路とともに事業化されたため、紀伊半島を一周する高速道路のすべての区間が事業着手されることとなりました。

・路線データ

起点:和歌山県新宮市あけぼの(新宮北IC)

終点:和歌山県新宮市三輪崎(みわさき)(新宮IC)

計画延長:4.8km

幅員:12.0m(完成)

構造規格:第1種第3級

設計速度:80km/h

車線数:2車線(完成)

IC:新宮北IC 紀宝方面出入口及び那智勝浦方面出入口

  新宮中央IC 紀宝方面出入口

  新宮IC 那智勝浦方面出入口

・新宮紀宝道路

 三重県南牟婁郡紀宝町(きほうちょう)神内(こうのうち)から和歌山県新宮市あけぼのに至る予定の自動車専用道路です。近畿自動車道紀勢線に並行する国道42号の自動車専用道路として整備されています。高速道路ナンバリングによる路線番号は、近畿自動車道紀勢線を形成するため「E42」が振られます。

 2013年に救急医療活動の支援、渋滞緩和、災害時の救命活動や地域復興支援の寄与などを目的に熊野川河口大橋を含む新宮紀宝道路が事業化されました。新宮紀宝道路は2024年秋に全線開通予定です。

・路線データ

起点:三重県南牟婁郡紀宝(きほう)神内(こうのうち)(紀宝IC)

終点:和歌山県新宮市あけぼの(新宮北IC)

計画延長:2.4km

幅員:12.0m(完成)

構造規格:第1種第3級

設計速度;80km/h

車線数:2車線(完成)

IC:新宮北IC 紀宝方面出入口

  紀宝南IC 新宮方面出入口

  紀宝IC 新宮方面出入口

<まとめ>

・すさみ串本道路は2025年、新宮紀宝道路は2024年に開通予定です。

・串本太地道路と新宮道路の開通時期は未定となっています。

・建設中の道路は、道路構造規格や設計速度がどの道路も同じ。

-以上-

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