今回は2029年開業予定の大阪モノレール延伸事業について、大阪モノレール株式会社、関係自治体のHP資料及びWikipediaの情報を基に検討します。
<概略>
大阪モノレール株式会社は、大阪府内で大阪モノレール線(本線)および、国際文化公園都市モノレール線(彩都線)の2つの跨座式モノレールの路線を運営している大阪府出資の第三セクター会社です。本社は大阪府吹田市のモノレール車両基地内に所在します。
1998年に当時の営業距離21.2kmが世界最長のモノレールとしてギネス世界記録に認められ、2007年には28.0kmまで延長されたが、2011年に中国重慶市の重慶軌道交通が39.1kmの新路線(重慶軌道交通3号線)を開業したため、世界最長ではなくなっています(現在は世界2位)。大阪モノレールの路線には、関西大手私鉄では阪急と京阪の路線のみが接続していますが、大阪モノレールの株主には他の関西大手私鉄も含まれています。
大阪モノレールは、2029年開業を目標として門真市から南へ(仮称)瓜生堂駅までの延伸を予定しています。これにより、新たに4路線(大阪メトロ長堀鶴見緑地線・JR片町線(学研都市線)・近鉄けいはんな線・近鉄奈良線)と結節し、現在の営業区間と合わせて在来鉄道10路線とのネットワークを形成します。
大阪モノレールは大阪国際空港と堺泉北臨海工業地帯を結ぶという壮大な構想から始まったもので、(仮称)瓜生堂駅から先も大阪府道2号大阪中央環状線に沿って堺市方面まで延伸する構想が存在しますが、事業化には至っていません。
<結論>
・新たに用地を取得する箇所は少なく、2029年の開業に向け大きな障害は無い。
・大阪中央環状線に沿って堺市まで延伸する構想も存在する。
<延伸路線概要>
・建設区間:門真市駅~(仮称)松生町駅~(仮称)門真南駅~(仮称)鴻池新田駅~
(仮称)荒本駅~(仮称)瓜生堂駅
大阪中央環状線に沿ったルートであり、用地取得はほとんど必要としないとみられる。
・路線延長:約8.9km
門真市駅~(仮称)松生町駅 約0.8km
(仮称)松生町駅~(仮称)門真南駅 約1.8km
(仮称)門真南駅~(仮称)鴻池新田駅 約1.9km
(仮称)鴻池新田駅~(仮称)荒本駅 約2.4km
(仮称)荒本駅~(仮称)瓜生堂駅 約2.0km
・駅数:5駅
・車両基地:瓜生堂車両基地を新設
・開業目標:2029年
・事業主体:インフラ部(大阪府)
インフラ外部(大阪モノレール株式会社)
・構造形式:複線高架形式(跨座式モノレール)
・事業費:約1,050億円(税込)※ただし、(仮称)松生町駅は除く
<跨座式モノレール>
跨座式モノレールとは、車両が軌道桁(レール)の上を走行する方式のモノレールで、軌道桁を左右から車輪で挟むことで安定して走行することができます。大阪モノレールでは、2018年から安全性をさらに高めた3000系車両を導入しています。
<(仮称)瓜生堂車両基地>
車両の増加に対応するほか、災害時には万博車両基地の代替機能として活用するために、(仮称)瓜生堂駅の北側に新たに車両基地を整備します。車両基地内には列車の留置線や検査場などを設置する予定となっています。
<堺方面への延伸構想>
瓜生堂から先は堺市まで路線を延伸することが構想されています。瓜生堂から大阪中央環状線に沿って南下し、東大阪市から八尾市を経由して松原市に至ります。美原ロータリー付近で一時的に堺市に入り、大阪中央環状線と共に西に向きを変えます。その先の大阪中央環状線に沿って再度松原市をかすめた後に堺市に入ります。そして、仁徳天皇陵北側付近でフェニックス通りに入り、南海本線堺駅付近を終点とする構想です。2018年ごろから堺市により誘致活動が進められていますが、実現の目途は立っていません。
<まとめ>
・大阪中央環状線に沿ったルートのため、新たに用地を取得する箇所は少なく、2029年の開業に向け大きな障害は無いとみられる。
・仮称瓜生堂車両基地が仮称瓜生堂駅の北側に設けられ、車両の増加に対応するほか、災害時には万博車両基地の代替機能として活用される。
・瓜生堂から先、大阪中央環状線に沿って堺市まで延伸することが構想されていますが、実現の目途は立っていません。
-以上-
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