琵琶湖西縦貫道路【琵琶湖西岸を貫く無料の高規格道路】

 今回は、琵琶湖西縦貫道路について国土交通省近畿地方整備局のホームページ資料とWikipediaの情報を基に検討します。

<概略>

 琵琶湖西縦貫道路は、北陸自動車道木之本(きのもと)インターチェンジから琵琶湖西岸を通り、名神高速道路京都東ICに至る地域高規格道路で、国道161号のバイパス道路です。

 国道161号は1964年に一次改築が完了ましたが、幅員は狭く線形が悪い上に、福井県境から高島町(当時)までの35.2 kmは雪寒冷地帯でした。そのため、交通量の増加や車両の大型化、降雪時の交通難には対応できなくなったため、1966年5月に国道161号全線が建設省の直轄管理下になり、同時に二次改築の計画が立案されました。この二次改築計画に従い、逐次バイパスの供用や現道の拡幅がすすめられています。1994年12月に地域高規格道路「琵琶湖西縦貫道路」の計画路線として指定を受けました。

 この道路の整備により、湖西地域と京阪神圏・大津市中心部との連携が強化され、観光面などで地域の活性化が期待されています。

<結論>

・京阪神と北陸の行き来には、琵琶湖東側の高速道路を経由するよりも安い。

・現在事業中及び計画中の区間が完成すれば、饗庭交差点の信号が残るため、立体化が望まれる。

<道路詳細>

起点:滋賀県長浜市木之本町木之本(木之本IC)

終点:滋賀県大津市横木(藤尾南ランプ)

区間中に下記7つの事業区間が存在している

・マキノ拡幅(供用済)高規格道路

 距離:4.1 km

 規格:第3種第2級

 起点:高島市マキノ町野口

 終点:高島市マキノ(ちょう)海津(かいづ)

・湖北バイパス(一部暫定2車線供用済、一部区間事業中)高規格道路

 距離:10.8 km

 規格:第3種第1級

 設計速度:80km/h

 起点:高島市マキノ町海津

 終点:高島市今津町(いまづちょう)(ひろ)(かわ)

・高島バイパス(暫定2車線供用済、立体化事業中)直轄国道

 距離:15.3 km

 規格:第3種第1級

 起点:高島市今津町弘川

 終点:高島市打下(うちおろし)

・小松拡幅(事業中)直轄国道

 距離:6.6 km

 規格:第3種第1級

 設計速度:80km/h

 起点:高島市打下

 終点:大津市(きた)小松(こまつ)

・志賀バイパス(暫定2車線供用済)高規格道路

 距離:6.4 km

 規格:第3種第1級

 設計速度:80km/h

 起点:大津市北小松

 終点:大津市荒川

湖西(こせい)道路(暫定2車線供用済、一部4車線化事業中)高規格道路

 距離:16.7 km

 規格:第1種第3級(4車線化区間)

 設計速度:80km/h

 起点:大津市荒川

 終点:大津市(しも)阪本

・西大津バイパス(供用済)高規格道路

 距離:10.1 km

 規格:第3種第1級

 設計速度:80km/h

 起点:大津市坂本(さかもと)本町(ほんまち)

 終点:大津市横木(よこぎ)

 起点の滋賀県長浜市木之本町木之本からマキノ拡幅起点の滋賀県高島市マキノ町野口までの間に琵琶湖西縦貫道路としての事業は存在しませんが、重複する国道8号線のバイパスとして塩津バイパスの拡幅事業が進行中です。

<事業中区間>

湖北バイパス

 起点から2.5kmの区間を第4工区と区分しており、この区間の用地取得を推進していますが完成の目途は立っていません。そのほかの区間は暫定2車線で開通済み。

高島バイパス

 安曇川(あどがわ)地区交差点の立体化事業が推進中ですが、完成は未定となっています。饗庭(あいば)交差点の立体化については、事業化されていません。

小松拡幅

 大津市北小松の延長2.4 kmが2025年秋に開通予定です。事業が進んでいない高島市鵜川(うかわ)付近の(しら)(ひげ)神社に隣接している区間は、初めは琵琶湖側に道路を張り出す形で4車線化する計画でしたが、環境や景観を保護するため山手にトンネルを通すルートが基本方針となったため、着工には至っていない。

 

湖西道路

 無料開放後は全線で追い越し禁止とされましたが、正面衝突事故が多発しているため2008年4月、(おお)()()(ごと)IC – 真野IC間の上り線に「ゆずり車線」が設置されました。さらに、渋滞が多発しているため、2015年度に真野IC – 坂本北ICを4車線化することが決定しました。完成は2025年秋を予定しています。

<効果>

 滋賀県内を通る名神高速道路の代替ルートとして機能するほか、京阪神方面と福井方面の往来にも有用な道路です。

京阪神と福井を往来する場合、北陸自動車道及び名神高速道路経由のルートと琵琶湖西縦貫道路を通るルートを比較します。京都東ICから敦賀ICまでの間の所要時間は、どちらのルートを利用してもおよそ1時間半程度で大きな差はありません。北陸自動車道と名神高速道路経由の料金は普通車一般で3,280円。距離は琵琶湖西縦貫道路を通るルートの方が短くなっています。そのため、所要時間は同等ですが、走行距離が短く無料であると言うメリットがあるため、現在事業中の区間が開通すれば走りやすさが向上し、琵琶湖西縦貫道路の需要は更に高まると予想されます。

 名神高速道路の代替ルートとしての需要は高くないとみられ、起点からマキノ拡幅までの区間に高規格道路を建設することは当面無いとみられる。

<まとめ>

・全線無料であるため、京阪神と北陸方面の往来には名神高速と北陸自動車道経由よりも安く移動できる。

・起点からマキノ拡幅までの区間に高規格道路を建設することは当面無いとみられる。

・現在事業中及び計画中の区間が全て開通すれば、湖北バイパスから西大津バイパスまでの65.8kmのうち、信号は饗庭交差点のみとなるため、饗庭交差点の立体化が望まれる。

-以上-

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