今回は、東京都市計画、都市高速鉄道第7号線分岐線(東京メトロ南北線の分岐線)品川~白金高輪間の東京都公表ルートについて、東京都都市整備局のHP資料及びWikipediaの情報を基に検討します。
<概略>
前回は、東京都市計画、都市高速鉄道第7号線分岐線(東京メトロ南北線の分岐線)品川~白金高輪間について検討しました。今回は、東京都から公表された品川~白金高輪間のルートが、他のルートを選択しなかった理由について詳しく検討していきます。
白金高輪駅から東京メトロ南北線を延伸するため、南北線の既存折り返し施設を延伸するよう計画しています。当該折り返し施設は、目黒通り方面に終端があり、そこから路線を延伸するため、最短距離の桜田通りを通らずに、目黒通りを通ることになりました。都営三田線を延伸する場合は、桜田通りを通ることも可能であったと考えられますが、南北線の延伸と言う位置づけのため、目黒通りのルートを選択したとみられます。
今回は、桜田通り方面への延伸の可能性も含めて検討しました。
<結論>
・検討の結果、下記2件を東京都へ確認する。
1,三田線側ではなく、南北線の折り返し施設から延伸したのは、ダイヤ設定の自由度を高めるため?それども工事費削減のため?
2,東京都公表の延伸ルートは工事費を抑えられるが、桜田通り延伸ルートは維持費を抑えられる。両ルートのコストは何年後に並ぶか?
<計画概要>
名称:東京都市計画都市高速鉄道第7号線分岐線
区間:港区高輪四丁目~港区白金台一丁目
計画区間延長:約2.8km
都市計画変更区間:約2.5km
構造形式:地下式
新設駅構造:島式ホーム1面2線(地下)、(開削工法の予定)
駅部構造物横断面幅:約19m~22m
走行部標準横断面:幅約10mの複線シールドトンネル
開業時期:2030年代半ば
事業費:1,310億円
中間駅:無し
<品川~白金高輪間ルート検討前提条件>
今回は、東京都公表ルートを含め、4つの延伸ルートを構想し、比較しました。ルートを設定する上での前提条件を以下の様に設定しました。
1,六本木・赤坂エリアなどの都心部と品川エリアのアクセス利便性の向上目的としており、都営三田線からではなく、東京メトロ南北線から品川方面に乗入れ可能な線路配置とする。
2,目黒通り又は桜田通りの地下を品川方面へ延伸する。
3,白金高輪駅の既存折り返し施設は、必ずしも必要ないものとする。
4,路線最小半径:約130m
5,分岐器(設置距離:約70m、最大勾配25‰)
6,最大勾配(分岐器区間:25‰、走行区間:40‰)
7,シールドトンネル外径(複線:10m、単線:7m)
<三田線を桜田通りへ延伸>
白金高輪駅南側の都営三田線と東京メトロ南北線を渡る分岐器の先から分岐します。都営三田線と東京メトロ南北線は平面交差します。品川方面へ向かう路線は、桜田通りを直進しますが、品川方面から白金高輪駅へ向かうルートは、必要な勾配を確保するため、一度目黒通りに入って、既存南北線を地下でアンダーパスした後、桜田通りへ向かいます。桜田通りを高輪台駅まで南下した後、2022年6月公表のルートと同じルートを品川駅へ進みます。
メリット
・既存折り返し施設が残るため、白金高輪駅での折り返し運転が可能。
・路線総延長距離が短い。
デメリット
・都営三田線との平面交差により、ダイヤ設定の自由度が低い。
・白金高輪駅周辺と清正公前交差点以南の用地確保が必要。
・白金高輪駅と明治学院大付近で桜田通りの開削工事が必要。
<三田線を目黒通りへ延伸>
白金高輪駅南側の都営三田線と東京メトロ南北線を渡る分岐器の先から分岐します。そのため、都営三田線と東京メトロ南北線は平面交差します。分岐から先は、既存南北線と並行に単線シールドトンネルで進み、2022年6月公表のルートと同じルートを複線シールドトンネルで品川駅まで進みます。
メリット
・既存折り返し施設が残るため、白金高輪駅での折り返し運転が可能。
デメリット
・都営三田線との平面交差により、ダイヤ設定の自由度が低い。
・白金高輪駅周辺の用地確保が必要。
・路線総延長距離が長い。
・白金高輪駅付近で桜田通りの開削工事が必要。
・工事延長距離が最も長い。
<南北線を桜田通りへ延伸>
白金高輪駅南側の既存折り返し施設の勾配を付け替え、既存南北線をアンダーパスし、桜田通りへ進みます。桜田通りを白金台駅まで南下した後、2022年6月公表のルートと同じルートを品川駅へ進むルートです。
メリット
・路線総延長距離が短い。
デメリット
・白金高輪駅付近と清正公前交差点付近で開削工事が必要。
・開削工事の範囲が広く、工事のための用地確保が必要とみられる。
・白金高輪駅の既存折り返し施設が無くなる。
・既存折り返し施設の勾配を付け替える為、工事の難易度が高い。
<南北線を目黒通りへ延伸>
2022年6月に東京都が公表したルートそのものです。既存折り返し施設から先に、既存南北線の下に複線シールドトンネルを掘り、目黒通りと環状第4号線予定ルートを通って品川駅へ向かいます。
メリット
・開削工事区間が最小。
デメリット
・白金高輪駅の既存折り返し施設が無くなる。
・路線総延長距離が比較的長い。
<各延伸ルート評価>
概略評価は、2022年6月の東京都公表ルートが優位だが、持費を含めた全体の評価結果を確認したい。
<まとめ>
・南北線の既存折り返し施設付近から延伸すると、都営三田線との平面交差避けられる。
・桜田通り方面へ延伸する場合、白金台駅周辺での開削工事が必要になり、工事費は高額になるとみられる。
・桜田通り延伸ルートの工事費は高いが、路線長が短くなるため維持費は低く抑えられるとみられる。
・2022年6月の東京都公表ルートが工事費は最も安いとみられるが、路線総延長増加により維持費は増加する。
-以上-
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