今回は、東京都市計画、都市高速鉄道第7号線分岐線(東京メトロ南北線の分岐線)品川~白金高輪間について、東京都都市整備局のHP資料及びWikipediaの情報を基に検討します。
<概略>
都市高速鉄道第7号線は、品川区上大崎から北区岩淵町に至る路線です。目黒駅から、六本木一丁目駅、飯田橋駅を経由し、赤羽岩淵駅を結ぶ路線で、東京メトロ南北線として開業している路線です。このうち、白金高輪駅から目黒駅間は都営地下鉄三田線との共用区間です。
今回取り上げる、東京都市計画、都市高速鉄道第7号線分岐線(東京メトロ南北線の分岐線)品川~白金高輪間は、南北線を白金高輪駅で分岐し品川駅方面に延伸するもので、起点となる港区高輪四丁目から白金台一丁目に至る延長約2.5 ㎞の区間の都市計画について、2022年6月に都市計画素案が公表されました。
この計画を推進することにより、六本木等の都心部と広域的な交通結節点である品川駅や国際競争力強化の拠点である同駅周辺とのアクセス利便性の向上が図られ、東京の国際競争力の強化や地域の活性化等が期待されます。
<結論>
・2030年代半ばの完成目標に対する障害はほぼ無いとみられる。
・既存折り返し施設の影響で、目黒通り直下の遠回りルートで計画されている。
<計画概要>
名称:東京都市計画都市高速鉄道第7号線分岐線
区間:港区高輪四丁目~港区白金台一丁目
計画区間延長:約2.8km
都市計画変更区間:約2.5km
構造形式:地下式
新設駅構造:島式ホーム1面2線(地下)、(開削工法の予定)
駅部構造物横断面幅:約19m~22m
走行部標準横断面:幅約10mの複線シールドトンネル
開業時期:2030年代半ば
事業費:1,310億円
中間駅:無し
<区間詳細>
起点の品川駅は、既存品川駅と並行に国道15号の地下に設置される計画です。品川駅から若干北上し、都市計画道路として計画されている環状第4号線の地下を西方向に進みます。市街地再開発事業が予定されている区域と重複する曲線区間は、都市高速鉄道の都市計画を立体的に定める計画となっています。
目黒通りと、環状第4号線が交差する付近までは環状第4号線の地下を進む計画です。目黒通りと交差する手前で白金高輪駅方面に曲がり、目黒通りを北東方向に進んで白金高輪駅の既設の折り返し施設に接続する計画になっています。
<用地確保>
大深度地下の公共使用に関する特別措置法では、大深度地下を40m以上の深さになる事を一つの目安としているため、東京メトロ南北線の分岐線計画では、地表から40m以上の深さになると想定される環状第4号線付近では、この法律の適用を想定しています。この法律が適用されれば、用地の取得はほとんど発生せず、着工までの期間が大幅に短縮するとみられます。
<整備効果>
・六本木・赤坂エリアなどの都心部と品川エリアのアクセス利便性の向上
六本木・赤坂エリアなど都心部と品川駅周辺が直結され六本木一丁目、溜池山王などの主要な都心地区と品川地域及びJR東海道本線、JR 京浜東北線、京浜急行本線等の各路線沿線への移動時間を短縮するとともに、乗り換え回数が削減されます。
・品川駅周辺と六本木赤坂などの都心部とのリダンダンシー確保
品川と都心部を結ぶ新たなアクセスルートが確保されることで、品川と都心部を結ぶ鉄道に運転休止や遅延などのトラブルが発生した場合でも、これを補完する移動ルートとして東京メトロ南北線の分岐線の利用が期待されます。
・周辺鉄道路線の混雑緩和
品川駅から新橋駅を経由し、赤坂方面へ向かう流動などが本路線に転換することにより、銀座線等の混雑緩和が期待されます。
<路線が迂回している理由>
・白金高輪駅から東京メトロ南北線を延伸するため、南北線の既存折り返し施設を延伸するよう計画しています。当該折り返し施設は、目黒通り方面に終端があり、そこから路線を延伸するため、最短距離の桜田通りを通らずに、目黒通りを通ることになりました。都営三田線を延伸する場合は、桜田通りを通ることも可能であったと考えられますが、南北線の延伸と言う位置づけのため、目黒通りのルートを選択したとみられます。
<まとめ>
・2030年代半ばの完成を見込んでおり、工事期間は10年程度になるとみられる。
・大深度地下使用法が適用されれば、用地買収はほとんど発生しないとみられ、開通へ向けた障害は低いとみられる。
・南北線の延伸路線が桜田通りではなく目黒通りを通る計画となったのは、既存折り返し施設が影響している。
-以上-
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