今回は、横浜市営地下鉄グリーンラインとして一部開業している横浜環状鉄道について、横浜市のHP資料及びWikipediaの情報を基に検討します。
<概略>
本路線は1960年代より横浜市六大事業の一環として港北ニュータウンとともに構想されてきた高速鉄道事業であり、「横浜環状鉄道」の一部として中山駅から日吉駅までが横浜市営地下鉄グリーンラインとして開業しています。さらに日吉駅から鶴見駅、中山駅から二俣川駅、東戸塚駅、上大岡駅、根岸駅そしてみなとみらい線の元町・中華街駅方面へ延伸する計画があります。
現在、横浜市内には郊外区拠点を環状型に連続して結ぶ基幹交通網に全線完成したものが無いため、グリーンライン延伸による市域一体化への期待は大きく、特に横浜市における主要な生活拠点(旧:副都心)とされる地域を接続する意味でも重要な路線とされています。なお、横浜市の環状型の交通網としては唯一、都市計画道路の環状2号線が存在しますが、これは既成市街地エリアの外周部を環状に結ぶ幹線道路であり、郊外部を環状型に結ぶ交通網は鉄道・幹線道路共に全線完成していません。
2016年の交通政策審議会による「交通政策審議会答申第198号」では、「地域の成長に応じた鉄道ネットワークの充実に資するプロジェクト」として位置づけられ、「課題」として「事業性に課題があるため、横浜市等において事業性の確保に向けた取組等を進めた上で、事業計画について十分な検討が行われることを期待」との意見が付けられています。
<結論>
・鶴見~日吉、中山~二俣川、元町・中華街~根岸において、検討を進めているが、着工の目途は立っていない。
<開業区間>
路線距離(営業キロ):13.0km(建設キロは13.1km)
軌間:1,435mm
駅数(起終点駅を含む):10
中山駅、川和町駅(地上)、都筑ふれあいの丘駅、センター南駅(地上)、センター北駅(地上)、北山田駅、東山田駅、高田駅、日吉本町駅、日吉駅
複線区間:全線
電化区間:全線(直流1,500V架空電車線方式)
地上区間:中山 – センター北間
最高速度:80km/h(営業運転では75km/h)
電化方式:直流1,500 V 架空電車線方式、車上一次鉄輪式リニアモーター方式
車両基地:川和車両基地
<未開業区間>
日吉~鶴見(検討中) 18分短縮
現状:29分(乗換2回) 整備後:11分(乗換なし)
中山~二俣川(検討中) 33分短縮
現状:44分(乗換1回) 整備後:11分(乗換なし)
二俣川~東戸塚 22分短縮
現状:31分(乗換1回) 整備後:9分(乗換なし)
東戸塚~上大岡 13分短縮
現状:21分(乗換1回) 整備後:8分(乗換なし)
上大岡~根岸 18分短縮
現状:24分(乗換1回) 整備後:6分(乗換なし)
根岸~元町・中華街(検討中) 19分短縮
現状:28分(乗換1回) 整備後:9分(乗換なし)
延長:34.4km
総事業費:7,700億円
輸送密度:41.7千人/日
B/C費用便益比:0.8
<整備効果>
・市域の主要な生活拠点を結び、横浜市の鉄道ネットワークのより一層の充実が図られます。
・横浜駅を中心とした放射状の鉄道路線を短絡し、災害等による輸送障害発生時の代替路線が確保されます。
・市域の主要な生活拠点を乗り換えなしでつなぐことにより、人の流れの増加、業務圏・商圏の拡大などが期待できます。
<取組の方向性>
・全線の整備により市域の一体化や交通利便性の向上が期待されますが、多額の費用を要することから長期的に取り組む路線としている。
・鉄道のネットワーク機能や効率的な運営を確保するために、まずグリーンラインやみなとみらい線の隣接区間から検討を進めている。
※直通運転を考慮すると、グリーンライン隣接区間はリニアモーター方式、みなとみらい線隣接区間は回転型モーター方式が採用されると考えられ、区間途中で乗り換えが発生するとみられる。
・事業性をさらに高めるため、鉄道整備とまちづくりの連携方策や沿線の交通需要を喚起するための方策などを検討している。
<まとめ>
・グリーンラインとみなとみらい線の隣接区間(鶴見~日吉、中山~二俣川、元町・中華街~根岸)の、検討を進めているが、事業性に課題があるため着工の目途は立っていない。
・グリーンライン隣接区間はリニアモーター方式、みなとみらい線隣接区間は回転型モーター方式が採用されれば、路線の中間で乗り換えが必要となる。
-以上-
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