今回は、運輸政策審議会答申で取り上げられていない多摩都市モノレールの構想路線について、関係自治体のHP資料及びWikipediaの情報を基に検討します。
<概略>
多摩都市モノレールの延伸構想は、これまでに別の解説動画で取り上げた上北台 – 箱根ヶ崎間の箱根ヶ崎ルート、多摩センター – 町田間の町田ルート、多摩センター – 八王子間の八王子ルートの3路線が交通政策審議会答申に盛り込まれていますが、これ以外にも延伸構想路線があります。
今回はそのうち、東京都の延伸構想路線である3つの路線の想定ルートと埼玉県ルートについて検討しました。一つ目は箱根ヶ崎 – 八王子間のルートで箱根ヶ崎駅からさらに延伸し、羽村を経て八王子までを結ぶ路線です。この路線は、既存路線・延伸検討中の路線と併せると環状路線を形成します。周辺自治体や市民団体では延伸実現に向けた活動を推進しています。二つ目は唐木田 – 是政間のルートで唐木田付近において八王子ルートから分岐して若葉台、南多摩を経て是政までを結ぶ路線です。三つめは八王子 – 甲州街道間のルートで八王子駅から小宮、日野を経て甲州街道までを結ぶ路線です。
これ以外にも、埼玉県の構想路線として上北台から西武ドームを経て、小手指までの延伸ルートにつて、埼玉県が検討を行っています。
<結論>
・既にほとんどの導入空間が確保されている路線もあるが、事業性に課題があるため、当面整備すべき路線への格上げは無いとみられる。
<想定ルート>
※東京都都市整備局又は埼玉県のHP資料より推定しているため、正確はありません。
・箱根ヶ崎 – 八王子
全長:約20km、整備費:約2,400億円(1km当り120億円程度として概算)
地元の誘致活動:あり
箱根ヶ崎駅 – 羽村駅:現道あり(都道163号(羽村街道))、導入空間無し。
羽村駅 – 羽村大橋東詰交差点:現道無し、都市計画道路あり。
羽村大橋東詰交差点 – 氷沢橋交差点:現道あり(都道250号)、導入空間無し。
氷沢橋交差点 –日の出インター手前まで:現道あり(都道165号及び184号(永田橋通り))、導入空間ありとみられる。
日の出インター手前 – 都道165号(伊奈福生線):現道無し、都市計画道路無し。
都道165号(伊奈福生線) – 秋川駅:現道あり(駅前大通り)、導入空間あり。
秋川駅 – 油平交差点付近: 現道無し、都市計画道路無し。
油平交差点付近 –野辺付近:現道あり(都道7号(睦橋通り))、導入空間無し。
野辺付近 – あきる野市八王子市境:現道無し、都市計画道路あり。
あきる野市八王子市境 – 善太郎坂下交差点:現道あり(都道166号)、導入空間無し。
善太郎坂下交差点 –左入橋交差点:現道あり(都道169号(新滝山街道))、導入空間あり。
左入橋交差点 – 八王子IC:現道あり(国道16号)、導入空間ありとみられる。
八王子IC – ひよどり山トンネル南交差点:現道無し、導入空間無し。
ひよどり山トンネル南交差点 – 八王子駅:現道あり(桑並木通り)、導入空間無し。(八王子駅付近に一部あり)
・唐木田 – 是政
全長:約12km、整備費:約1,440億円(1km当り120億円程度として概算)
地元の誘致活動:無し
唐木田駅付近 – 多摩東公園交差点:現道あり(都道158,156,18号(南多摩尾根幹線道路))、導入空間あり。
多摩東公園交差点 – 若葉台小学校南交差点:現道あり(都道19号(町田調布線))、導入空間無し。
若葉台小学校南交差点 – 稲城中央公園交差点:現道あり(若葉台中央通り、神谷戸大橋通り)、導入空間あり。
稲城中央公園交差点 – 稲城五中入口交差点:現道あり(都道19号(南多摩尾根幹線道路))、導入空間あり。
稲城五中入口交差点 – 是政駅:現道あり(城山通り、都道9号(府中街道))、導入空間ありとみられる。
・八王子 – 甲州街道
全長:約10km、整備費:約1,200億円(1km当り120億円程度として概算)
地元の誘致活動:無し
八王子駅 – 左入橋交差点:箱根ヶ崎 – 八王子ルート参照
左入橋交差点 – 福寿はちおうじ宇津木町付近:現道無し、都市計画道路無し。(一部国道16号を活用可能。)
福寿はちおうじ宇津木町付近 – 小宮駅:現道あり、導入空間無し。
小宮駅 – 栄町5丁目交差点付近又は石川PA上り付近:現道無し、都市計画道路無し。
栄町5丁目交差点付近又は石川PA上り付近 – 甲州街道駅:現道あり(都道169,149号(淵上日野線、立川日野線、多摩モノレール通り)又は、三小通り、都道256号(甲州街道))。導入空間無し。
・埼玉県ルート(上北台 – 小手指)
全長:約7km、整備費:約840億円(1km当り120億円程度として概算)
地元の誘致活動:あり
一部道路はあるが、いずれの区間も導入空間は確保できていない。
<事業採算性推定>
今回取り上げた構想路線は、いずれも多摩地区の縁付近に沿うルートとなっており、
沿線人口は既存路線と答申路線を下回ると想定される。よって、事業採算性を確保する事は厳しいと推定される。
<まとめ>
・唐木田 – 是政ルートの導入空間の確保が最も進んでいるが、地元の誘致活動は行われていない。
・いずれのルートも距離があるため1,000億円前後、又はそれを超える巨額の費用が必要とみられる。
・事業採算性の確保が難しいとみられることから、どの路線も当面整備すべき路線に格上げされることは無い。
-以上-
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