新宿駅直近地区土地区画整理事業【新宿グランドターミナルへの再編】

 今回は、新宿駅直近地区土地区画整理事業について、JR東日本、京王電鉄、小田急電鉄及び東京地下鉄のプレスリリース、東京都と新宿区の報道発表資料を基に検討します。

<概略>

 新宿駅直近地区においては、東西の移動がしにくいこと、人の滞留空間が不足していること、駅・駅ビルの老朽化が進んでいることなどの課題があります。このため、都が施行者となる土地区画整理事業による、駅ビルの建替えを契機に敷地整序(せいじょ)を行いながら、東西デッキ新設、西口及び東口駅前広場の人中心への再構成などにより、「新宿グランドターミナル」として再編することとしました。2021年07月07日には事業計画を決定し、新宿駅直近地区土地区画整理事業に着手しました。

 今後、2035年度の東西デッキ・東西駅前広場の一部完成(線路上空の新たな東西往来の確保)、2046年度の事業完了を目指して、事業を進めていく計画です。

<結論>

・東西の広場に歩行者中心の空間が整備される。

・西口の都市計画は完了したが、都市計画未決定の東口と東西を結ぶ歩行者デッキの具体化が今後の課題。

<新宿グランドターミナルの再整備方針>

 新宿グランドターミナルの再整備方針として、下記のコンセプトが示されています。

・交流軸の構築

方針1:グランドターミナルとまちを「東西骨格軸」でつなぐ

方針2:グランドターミナル を一体化して整える

方針3:人 中心の広場とまちに変える

・連携空間の創出

方針4:グランドターミナルの顔となるプラザ・テラスを整備する

方針5:グランドターミナルに新たな機能を誘導・導入する空間を創出する

方針6:グランドターミナルの各所に人が(たたず)みたくなる空間とみどりを創る

持続的な発展への挑戦

方針7:新宿のレガシーを継承しながら、新たな景観を生み出す

方針8:誰もがチャレンジできる環境を用意する

方針9:次世代の技術導入の可能性に果敢に挑戦する

方針10:新宿全体の挑戦に結び付ける

<整備イメージ>

 2017年に発表された新宿の拠点再整備方針(案)に、各階層別整備イメージが示されています。

・地上階

 歩行者優先の道路整備をするエリアが示されています。東西の広場を中心に歩行者中心の広場や道路を整備する計画です。

・デッキ階

 西口と東口の広場を結ぶデッキの整備を主軸とし、西口広場の新たなデッキ整備や、四谷(つの)(はず)線沿い、小田急線駅上、甲州街道北側のJR線駅上のデッキ整備などが盛り込まれています。

 将来構想としては、駅南東のデッキ整備や西武線方面へ向かうデッキ整備、駅西側へのデッキ整備も盛り込まれていました。

・地下階

 西口と東口の広場を結ぶ東西自由通路と広場下の地下空間の整備、東口と西武新宿駅を結ぶ地下道や青梅街道の地下道整備が盛り込まれています。

・地下駐車場階

 西口広場下の通路が盛り込まれています。

<都市計画案等で具体化されたもの>

・地上階

 東西広場整備が計画されています。(後述)

・デッキ階

 西口と東口の広場を結ぶ東西デッキの整備、西口広場の新たなデッキ整備、四谷(つの)(はず)線沿い、小田急線駅上、駅西側へのデッキ整備が都市計画案に盛り込まれています。

・地下階

 東西の広場を結ぶ地下自由通路は完成しました。青梅街道から四谷角筈線に向かう地下道は現在事業中です。東西広場地下空間の整備は都市計画が決定されました。新宿駅北側の青梅街道沿いと、東口と西武新宿駅を結ぶ地下道も都市計画決定されています。

・地下駐車場階

 西口ロータリー下の通路については、都市計画が確認できませんでした。

<東西広場の整備>

・新宿駅西口

 地上は、荷さばき車も利用可能な駐車場出入口を新設し、一般車の寄付きを確保します。また、建物の敷地に歩行空間を創出し、建物の敷地を広場と正対させ見通しを確保します。

地下は、次世代モビリティーへの対応を考慮した交通結節機能を確保する計画です。

現況

歩行者空間:(地上)約6,400 ㎡(交通広場面積 約24,600 ㎡)

一般車乗降場:無し

タクシー乗車:(地上)1台、(地下)2台

タクシープール:無し

バス乗降場:(地上)乗降19 台(待機含む。)、(地下)乗降2 台

将来計画(案)

歩行者空間:(地上)約12,400 ㎡(交通広場面積 約 24,800 ㎡)

一般車乗降場:3台(送迎バス含む。)

タクシー乗車:(地上)3台、(地下)無し

タクシープール:44台

バス乗降場:(地上)乗車11 台、降車 3 台、待機 8 台、(地下)乗降2 台

・東口

 車道の一部と駐車場出入口を線路側に移設し、歩行者空間を拡大させます。集約できない荷さばきのために、まち側の車両動線を確保します。角筈ガードとの接続部は、歩行者ネットークの連続性を確保します。

現況

歩行者空間:約4,300 ㎡(交通広場面積 約14,200 ㎡

タクシー乗車:1台

タクシープール:無し

将来計画(案)

歩行者空間:約7,100 ㎡(交通広場面積 約14,300 ㎡

タクシー乗車:2台

タクシープール:10台

<まとめ>

・新宿駅東西の広場に歩行者中心の空間が整備される。

・新宿駅直近地区土地区画整理事業が完了すれば、西口側は新宿グランドターミナルの再整備方針に沿った歩行者空間の整備がほぼ完了する。

・今後、都市計画未決定の東口側と東西をつなぐ歩行者デッキがどう具体化されていくのか注目される。

-以上-

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