首都高速道路【日本橋区間地下化事業】

 今回は、2022年3月10日に本体工事の契約手続等説明会が開催された首都高速道路の日本橋区間地下化事業について首都高速道路株式会社HPの情報を基に検討します。

<概略>

 日本橋川上空の首都高速道路は、都心部の渋滞解消のために、1964年の東京オリンピック前に建設され、1963年の開通から半世紀以上が経過しています。この区間は、1日あたり約10万台の自動車が走行する過酷な使用状況にあるため、構造物の損傷が激しく、 更新が必要となっています。都心部の交通を支える首都高速道路を、次世代へつなぐ、安全・安心な道にするため、地下化事業とあわせて、構造物の更新を図ります。日本橋川周辺は、国家戦略特区の都市再生プロジェクトに位置付けられ、多くの再開発計画が立ち上がり、新しいまちづくりが始まろうとしています。

 首都高速道路日本橋区間地下化事業では「立体道路制度」を活用し、建物の地下にトンネルを整備することで、これらのまちづくりと一体となって地下化事業に取り組み、地域の魅力のさらなる向上に貢献します。それにより、日本橋川周辺の景観や環境の改善が図られ、新しい日本橋の「まち」へ生まれ変わる計画です。

<結論>

・2021年5月に江戸橋出入口と呉服橋出入口が閉鎖され、撤去が始まっている。

・地下トンネルの工事は難工事が予想され、目標としている2040年に事業完了する目途は立っていない。

<事業概要>

路線名   :都心環状線

事業区間  :東京都千代田区内神田二丁目〜東京都中央区日本橋小網町

延長    :約1.8km

道路の区分 :第2種第2級(自動車専用道路)

車線数   :往復4車線

設計速度  :60km/時、50km/時(ジャンクション部 40km/時)

出入口の廃止:3箇所(常盤橋、呉服橋、江戸橋)

換気所   :常盤橋換気所(改築)

道路構造  :トンネル構造 約1.1km 高架構造 約0.4km 擁壁構造 約0.3km

<事業の目的>

・老朽更新

 開通から50年以上が経過し、老朽化による損傷が発生しているため、長期の安全・安心を確保する大規模更新が必要となっています。

・景観改善

日本橋川上空にかかる首都高速道路が景観へ与える影響について、様々な議論が行われてきました。首都高速道路の地下化により、日本橋周辺の景観の改善が期待されています。

<事業による道路の変化点>

・廃止される出入口:江戸橋出入口、呉服橋出入口、常盤橋出入口(予定)

・江戸橋JCT:京橋方面と神田橋方面の直通ができなくなり、京橋方面は1号上野線・6号向島線、神田橋方面は6号向島線との連絡のみとなる予定

・神田橋JCT:常盤橋付近に移設される予定。

<工事の順序>

PHASE01:地下化に向け、地下埋設物移設と出入り口撤去工事を実施。

(2021年から江戸橋出入口及び呉服橋出入口の撤去工事に着手)

PHASE02:地下を走る新しい首都高速道路を構築するため、開削トンネル工事、河川内工事、シールドトンネル工事、擁壁・掘割工事及び高架工事を実施。(2035年目途)

PHASE03:日本橋川上にある既設首都高速道路の撤去工事を実施。(2040年目途)

<地下化による効果>

・車の走行性の向上

路肩が広くなりドライバーに空間的なゆとりが生まれます。

・交通状況の改善

交通の分散で江戸橋ジャンクション周辺の交通状況の改善が見込まれます。

<まとめ>

・江戸橋出入口及び呉服橋出入口の撤去工事に着手している。

・トンネル本体は工事事業者の選定を始めたばかりであり、難工事が予想されている。

・地下への切り替えが2035年、事業完了が2040年としているが、実現の目途は立っていない。

-以上-

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