横浜市営地下鉄【ブルーライン延伸計画】

 今回は、2020年1月に概略ルートと駅の位置が公表された、横浜市営地下鉄ブルーラインの延伸計画(あざみ野~新百合ヶ丘)について Wikipediaと関係自治体HPの情報を基に検討します。

<概略>

 高速鉄道3号線の延伸(あざみ野~新百合ヶ丘)は、2019年1月に、整備効果、延伸区間の費用対効果及び採算性が認められることから、横浜市が事業化することを決定し、横浜市・川崎市で相互に連携・協力して事業推進するため覚書を交換しました。また、2020年1月に、概略ルート・駅位置について、市民の意見等を踏まえ、横浜市・川崎市の両市で合意しました。

 本路線は、横浜市営地下鉄ブルーラインを延伸するもので、横浜市交通局が事業主体として、横浜市営地下鉄あざみ野駅(横浜市青葉区)から小田急線新百合ヶ丘駅南口付近(川崎市麻生区)までの約6.5kmの区間を整備、運行します。延伸区間には、新たに4駅を設置し、交通政策審議会答申の目標年次である、2030年開業を目指しています。

 整備効果として、鉄道のネットワークが充実することによる広域的な交通利便性の向上や、新幹線へのアクセス機能が強化されるとともに、新駅設置による利便性の向上や、駅周辺まちづくりなど、沿線地域の活性化が期待されています。

<結論>

・2030年の開業目標に間に合わせるには、2024年頃までの着工が必要。

・日程的に2030年の開業目標は難しくなりつつある。

<事業概要>

整備区間    あざみ野~新百合ヶ丘

整備延長    約6.5km

概算事業費   約1,720億円

ルート・駅位置  新駅4駅(既設あざみ野駅を除く)

        あざみ野駅:横浜市青葉区あざみ野(既存駅)

        嶮山(けんざん)付近:横浜市青葉区すすき野(新駅)

        すすき野付近:横浜市青葉区すすき野(新駅)

        ヨネッティー王禅寺付近:川崎市麻生区王禅寺(新駅)

        小田急線新百合ヶ丘駅南口付近:川崎市麻生区万福寺(新駅)

事業主体    横浜市交通局(第一種鉄道事業者)

事業スキーム  地下高速鉄道整備事業費補助(想定)

開業        2030年開業目標(交通政策審議会答申の目標年次)

<かつて検討されたルート案>

すすき野付近から新百合ヶ丘駅までの間に下記3案が検討された。

西側ルート(駅設置位置:白山(はくさん)付近)

中央ルート(駅設置位置:王禅寺公園付近)

東側ルート(駅設置位置:ヨネッティー王禅寺付近)

<各ルートの評価>

 事業性にはほとんど差がないため、バスとの連携や既存駅からの距離の観点から東側ルートが選定されることになった。

西側ルート  中央ルート  東側ルート

整備延長       6.3km    6.0km    6.5km

概算事業費     1,760億円  1,690億円  1,720億円

輸送人員      7.8万人/日  8.0万人/日  7.9万人/日

所要時間      約10分   約9分 30 秒  約10分

費用便益比(B/C)   1.48     1.59     1.53

累積損益欠損解消年 30 年   25 年   28 年

累積資金不足解消年 36 年   33 年   34 年

バスとの連携    〇     △     ◎

既存駅との距離   〇     〇     ◎

<既設路線仕様>

路線距離:40.4 km(うち地上区間:7.7 km)

1号線:関内駅 – 湘南台駅間 19.7 km

3号線:関内駅 – あざみ野駅間 20.7 km

軌間:1,435 mm(標準軌)

駅数(起終点駅含む):32(1号線:17、3号線:16 ともに関内駅を含む数字)

複線区間:全線

電化区間:全線(直流750 V第三軌条集電方式)

地上区間:湘南台 – 立場間の一部・上永谷駅前後・北新横浜 – あざみ野間の一部

閉塞方式:車内信号式

営業最高速度:80 km/h

編成両数:6両

<整備効果>

・広域的な鉄道ネットワークの形成

横浜と川崎市北部、多摩地域を結ぶ、新たな都市軸の形成

災害等による輸送障害発生時の代替経路の確保

・新幹線アクセス機能の強化

横浜市北西部のみならず、川崎市北部・多摩地区など、広い範囲から新横浜駅へのアクセス機能の強化

移動時間の短縮(例)

拠点間アクセスの強化

  新百合ヶ丘~あざみ野 約30 分→約10 分 約20 分短縮(乗換なし)

新幹線アクセスの強化

  新百合ヶ丘~新横浜 約35 分→約27 分 約8分短縮(乗換なし)

・沿線地域の活性化

新駅周辺まちづくりの活性化

ターミナル駅の交通結節機能強化、沿線地域の公共交通ネットワークの強化

<進捗と課題>

・環境影響評価の手続き中であり、着工の見通しは立っていない。

・一部住宅地を通過するため、地下権取得が順調に進むかどうかが進捗のカギを握る。

<まとめ>

・環境影響評価が完了すれば、詳細設計、用地取得及び着工に進むとみられる。

・近年の地下鉄の工事期間は約6~7年で、2030年の開業目標に間に合わせるためには、設計から用地取得までを2年程度で完了させる必要がある。

・詳細設計、住宅地の地下権取得日程を考慮すると、2030年の開業目標はかなり厳しい。

-以上-

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