今回は、神奈川東部方面線の相鉄・JR直通線について、Wikipediaと都市鉄道利便増進事業 相鉄・JR直通線、相鉄・東急直通線HPの情報を基に検討します。
<概略>
神奈川東部方面線は2000年の運輸政策審議会答申第18号に基づく路線であり、都市鉄道等利便増進法の速達性向上事業として整備が進められている路線です。鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)が鉄道施設を建設・保有し、相模鉄道(相鉄)および東急電鉄(東急)が営業を行います。鉄道・運輸機構による事業名称は、西谷駅 – 羽沢横浜国大駅付近が相鉄・JR直通線、羽沢横浜国大駅付近 – 日吉駅が相鉄・東急直通線です。2019年11月30日に相鉄・JR直通線が開業し、JR東日本との相互直通運転を開始しました。相鉄・東急直通線は2022年度下期に開業予定であり、東急東横線および東急目黒線と相互直通運転を行う計画です。なお、営業主体である相鉄および東急は、2018年12月に西谷駅 – 新横浜駅間の路線名称を相鉄新横浜線、新横浜駅 – 日吉駅間の路線名称を東急新横浜線と発表しています。
今回は、既に供用済みである相鉄・JR直通線について取り上げます。2006年5月に、都市鉄道等利便増進法に基づく「相鉄・JR直通線」の整備主体である鉄道・運輸機構による整備構想の申請、営業主体である相鉄により営業構想の申請が行われ、6月に認定されました。相鉄・JR直通線の事業内容は、相鉄本線西谷駅からJR東海道貨物線横浜羽沢駅付近までの約2.7 kmの連絡線と羽沢横浜国大駅を新設するほか、相鉄線内での速達性向上等のための追越し施設として瀬谷駅下り待避線の新設、JR線と相互直通運転を行うための相鉄線内の鉄道電気施設等の整備となっています。
<結論>
相鉄・東急直通線開業後に優位性が無くなるため、利用価値の低い路線となるとみられる。
東海道貨物線経由で羽田空港方面へ向かうルートが有効活用の打開策となるのでは。
<ルート>
相鉄・JR直通線
整備区間:相鉄本線西谷駅~JR東海道貨物線横浜羽沢駅付近(約2.7km)
起点:西谷駅
終点:横浜羽沢駅
<工事概要>
西谷駅:横浜方約500mの直通線整備及び海老名方約700mの引上げ線を整備
西谷駅~羽沢横浜国大駅:トンネル新設
羽沢横浜国大駅:駅新設及び東海道貨物別線接続
瀬谷駅(相鉄線内):下り線を1本増設し2面4線化
<事業概略>
整備区間:相鉄本線西谷駅~JR東海道貨物線横浜羽沢駅付近(約2.7km)
開業時期:2019年11月30日
整備主体:鉄道・運輸機構
営業主体:相模鉄道(株)
運行区間:海老名駅・湘南台駅~西谷駅~羽沢横浜国大駅~新宿方面
運行頻度:朝ラッシュ時間帯(4本/時 程度)その他時間帯(2~3本/時 程度)
<主な課題>
・相鉄・東急直通線開通後に、渋谷、新宿方面への速度優位性は無くなる。
利用状況によっては、品川・東京方面および上野東京ライン又は横須賀線への乗入れが再度検討されるとみられますが、接続する横須賀線等の運行が高頻度および路線の設備上、多方面へ向かう運行本数の確保が困難であるのを理由に見送られて経緯があり、また他路線との列車編成も異なることから、東京方面への運行は容易ではないとみられる。
東海道貨物線経由で羽田空港方面へ向かい、羽田空港アクセス線と連携する案が打開策になる可能性もある。
・上り列車の経路(西大井→大崎方向)は横浜方面からの湘南新宿ラインの上り列車と同様に旧蛇窪信号場で横須賀線の下り列車の経路(品川→西大井方向)と平面交差しており、このことがダイヤ作成上の制約となっている。
<まとめ>
・相鉄・東急直通線開通後に、渋谷、新宿方面への速度優位性は無くなるが、打開策は今のところ無い。
・相鉄・東急直通線に比べて本数も少ないことから、利用価値の低い路線になるとみられる。
・東海道貨物線経由で羽田空港方面へ向かうルートが有効活用の打開策になる可能性もある。
-以上-
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