今回は核都市広域幹線道路について、関係自治体のホームページ資料及びWikipediaの情報を基に検討します。
<概略>
核都市広域幹線道路は、首都圏の各都市を相互に結ぶ環状道路として計画された道路です。1994年12月16日、地域高規格道路の候補路線に指定され、略称は「核幹道」と呼ばれています。古くは、第2外郭環状道路(第2外環)として構想されていた路線になります。
首都圏の環状道路は、首都高速都心環状線、首都高速中央環状線、東京外環自動車道、首都圏中央連絡自動車道がありますが、核都市広域幹線道路は東京外環自動車道と首都圏中央連絡自動車道の中間位置に計画されています。業務核都市のうち、横浜市、町田市、多摩市、立川市、所沢市、さいたま市、越谷市、柏市、千葉市などを結ぶ計画です。
すでに完成済みの区間として首都高速神奈川7号横浜北西線、首都高速神奈川7号横浜北線、首都高速埼玉新都心線が挙げられます。
<結論>
・通過する都県ごとに計画を練っており、地域によって取り組みへの温度差もあることから、各都県間の連続性が考慮されていない。
・埼玉県の首都高速埼玉新都心線の東北自動車道への延伸と千葉県の千葉北西連絡道路が具体化に向けた動きがある。
<現状>
・神奈川県区間
首都高速神奈川7号横浜北線及び首都高速神奈川7号横浜北西線が既に建設されています。横浜青葉IC/JCTから東京都多摩市方面へ向かって延伸される構想が、2007年版のかながわ交通計画に描かれていますが、具体的な都市計画は立てられていません。横浜青葉IC/JCTから東京都方面への延伸は、東京都区間の具体化と一体となって整備されるものと考えられます。
・東京都区間
東京の都市づくりビジョン(改定)には、検討路線として記載されていますが、具体的なルートや都市計画などは発表されていません。立川市にある昭和記念公園東側の道路(立川昭島線)の幅員の広さが、第2外環構想の名残と考えられています。多摩ニュータウンや立川市などの住宅密集地を通過するため、具体化には相当の時間を要すると考えられます。
・埼玉県区間
首都高速埼玉新都心線が核都市広域幹線道路の県内唯一の開通区間と考えられています。埼玉県渋滞ボトルネック検討WGでは、国道16号や463号といった県内を東西方向に結ぶ幹線道路は慢性的に混雑しており、圏央道と外環道との間の高速道路である核都市広域幹線道路の計画の早期具体化が必要と指摘しています。同WGの資料によると、関越道から東埼玉道路までの区間の必要性が高いと考えられています。また、首都高速埼玉新都心線の東北自動車道への延伸は埼玉県議会でも取り上げられており、埼玉県内で今後具体化するのはこの区間が最も早いと考えられます。
ルートに関しては、埼玉県5か年計画等の資料に概略が示されているのみで、現状では都市計画などに落とし込まれた詳細なルートを確認することはできません。このルートは、東京都区間と、千葉県区間との連続性は考慮されていないと考えられます。
・千葉県区間
千葉県総合計画資料に、核都市広域幹線道路の大まかなルートが記載されていますが、埼玉県区間との連続性は、考慮されていません。千葉県広域道路交通ビジョン千葉県広域道路交通計画に記載されている千葉北西連絡道路とその延伸部が核都市広域幹線道路を構成すると考えられます。
千葉北西連絡道路は、検討会が立ち上げられ具体的なルートの検討に着手していますが、道路の起点、終点や道路の構造などはまだ決まっていません。
<まとめ>
・神奈川県区間は、開通区間以外で具体化する動きはない。
・東京都区間の具体化には、相当の時間を要すると考えられる。
・埼玉県区間は関越道から東埼玉道路までの区間の必要性が高く、首都高速さいたま新都心線の東北自動車道への延伸は具体化へ向けて国への働きかけを行っている。
・千葉県区間は、千葉北西連絡道路が具体化に向けて動き出しているが、埼玉県区間との連続性は考慮されていないとみられる。
・通過する都県間の連続性を踏まえて整備できるよう、国による調整が望まれる。
―以上―
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