今回は、中国横断新幹線について、Wikipediaと中国横断新幹線(伯備新幹線)整備推進会議ホームページの情報を基に検討します。
<概略>
中国横断新幹線は、岡山県岡山市から島根県松江市までを結ぶ計画の新幹線基本計画路線です。1973年に基本計画路線に指定されてから40年以上、進展していません。
1992年、鳥取、島根、岡山の三県議会議員で、「伯備線ミニ新幹線促進協議会(後に JR 伯備線高速化・新幹線化促進三県議会議員協議会)」が発足し、1993年には中国 5 県知事による「中国横断新幹線整備促進協議会」が発足しました。1994年、鳥取、島根、岡山各県で「中国横断新幹線」の期成同盟会がそれぞれ発足しましたが、新幹線の誘致には至りませんでした。
2019年に、中海・宍道湖・大山圏域の市町村、市町村議会、経済団体の計44団体により、中国横断新幹線(伯備新幹線)整備推進会議が設立され、「中国横断新幹線」(伯備新幹線)と「山陰新幹線」の整備実現に向けて、国への要望活動やPR活動、調査研究、イベント開催などを行っています。
今回は、京都⼤学⼤学院教授の藤井氏により2019年に示された岡山駅から出雲市駅までの区間の試算結果を基に検討します。
<結論>
・最新の検討結果では、費用対効果と京阪神への時間短縮効果が山陰新幹線を上回っている。
・山陰新幹線区間と整備優先順位についての調整が課題。
<ルート>
京都⼤学⼤学院教授の藤井氏により2019年に示されたルートは以下の通りです。
岡山駅(既設):地上2面4線(山陽新幹線と共用か?)
備中高梁駅:詳細構造及び位置未定
新見駅:詳細構造及び位置未定
米子駅:詳細構造及び位置未定
松江駅:詳細構造及び位置未定
出雲市駅:詳細構造及び位置未定
米子から出雲までは山陰新幹線と共用するものとみられる。
<運行形態>
各駅停車:出雲市 – 松江 – 米子 – 新見 – 備中高梁 – 岡山
速達列車:出雲市 – 松江 – 米子 – 岡山
<時間短縮効果>
・時間短縮効果(最高速度320km/h)
米子駅~岡山駅間:2時間10分→33分
松江駅~岡山駅間:2時間40分→44分
出雲市駅~岡山駅間:2時間48分→58分
<事業性検討>
・前提条件
北海道新幹線札幌まで:2031年開通
リニア中央新幹線名古屋まで:2027年開通
大阪まで:2037年開通
北陸新幹線敦賀まで:2023年開通
大阪まで:2046年開通
九州新幹線長崎まで:2023年開通
※これらの新幹線の建設費用は、GDP・GRP推移には含まない。
※ 本試算では、伯備新幹線の整備は前提としない。
・単線ベース
岡山-出雲市間 建設費:1.11兆円 累積GDP増加(10年):3.93兆円
・全線フル規格複線
新大阪-鳥取間 建設費:1.27兆円 累積GDP増加(10年):4.15兆円
※事業性評価は山陰新幹線を上回るとみられる。
<今後の課題>
・整備方式と詳細ルートの決定。
・ルート決定後の詳細な効果試算と、費用対効果があることの証明。
・山陰新幹線区間と整備優先順位についての調整。
<まとめ>
・大まかな試算では、建設による効果は得られると考えられ、事業性は山陰新幹線を上回る。
・山陰新幹線が北陸新幹線と小浜まで路線を共用する場合、京都や大阪への時間短縮効果が山陰新幹線に比べて高い。
・一部重複する山陰新幹線区間と整備区間および時期の調整が必要になる。
-以上-
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