今回は、2020年に専用部の新規事業化が発表された東埼玉道路について、国土交通省関東地方整備局のホームページ資料及びWikipediaの情報を基に検討します。
<概略>
東埼玉道路は、埼玉県八潮市の東京外環自動車道草加八潮IC/JCTから、埼玉県春日部市で国道4号および国道16号に接続する庄和ICに至る延長17.6 kmの地域高規格道路です。1994年に計画路線に指定されました。本道路は庄和ICから圏央道までの延伸構想がありますが、現在のところ具体的な計画はありません。
自動車専用部と一般部(国道4号バイパス)が併設する構造となっており、完成すれば、東北自動車道や常磐自動車道などの高速道路を補完し、国道4号の交通渋滞の緩和や東埼玉道路沿線の開発事業の支援、災害時の代替路確保などに寄与します。並行する国道4号のバイパスである『草加バイパス』をさらに、東側でバイパスする道路ですが、直接本線と結ばれるのは終点側のみとなるため、渋滞削減効果は限定的とみられます。
既に一般部は起点から5.7kmが開通しており、越谷市内では、日本一面積の広いショッピングセンター『イオンレイクタウン』が開業。それにより越谷レイクタウンの街開きがされ、現在では住民の生活道路の一部となっています。そのため、土日祝日を中心に買い物客などの自動車で、主にレイクタウン北からレイクタウン南交差点付近は、渋滞が頻発しています。
<結論>
・草加八潮IC/JCTがボトルネックとなることが予想される。
・一般部は全線で事業化されているが、専用部は未事業化区間が残る。
<ルート>
東埼玉道路は、以下のルートに建設される計画です。
起点:埼玉県八潮市八條(草加八潮IC/JCT)
終点:埼玉県春日部市下柳(庄和IC)
全長:17.6 km
料金:事業中の専用部は有料(未事業化区間は未定)
事業中区間
一般部:埼玉県吉川市川藤 – 埼玉県春日部市水角(8.7km)
埼玉県吉川市川藤 – 埼玉県松伏町田島(3.8km)2025年開通予定
専用部:草加八潮IC/JCT – 浦和野田線IC(9.5km)
計画されているJCT及びICは以下の通りです。
・草加八潮IC/JCT(国道298号と東京外環自動車道に接続):事業中
外環八潮PA(2026年度供用予定)
・蒲生柿木川戸線IC:事業中
・越谷吉川線IC:事業中
・越谷総合公園川藤線IC(宇都宮方面出入口):事業中
・浦和野田線IC:事業中
・東埼玉道路連絡線IC(宇都宮方面出入口):計画中
・国道4号IC(宇都宮方面出入口):計画中
・庄和IC(国道4号、国道16号に接続):計画中
<構造>
全区間で、橋梁や盛土を主体とした構造で建設される計画であり、標準構造は以下の様になっています。
道路規格:第一種3級
設計速度 : 80km/h(専用部)
車線数 : 専用部4車線、一般部2車線
道路幅員
橋梁区間(中央に自動車専用部、両側に幅員10.5メートルの一般部ができる構造)
一般部:21.0m(10.5m×2)
専用部(橋梁):22.0m
盛土区間(中川に並行して自動車専用部、一般部ができる構造)
一般部:車道7.5m、副道4.0m
専用部(盛土):22.0m
越谷春日部バイパスと並行する区間の構造は未決定。
<事業主体>
国土交通省関東地方整備局
東日本高速道路株式会社
<効果>
・国道4号の渋滞緩和
東埼玉道路と並行する国道4号バイパスでは、首都圏渋滞ボトルネック対策協議会で特定された渋滞箇所が連続しています。また、国道4号東埼玉道路の一般部では、大規模商業施設に近い交差点で、休日に著しい速度低下が発生しています。東埼玉道路が整備されることで、国道4号バイパスと東埼玉道路一般部の渋滞緩和につながりますが、国道4号の外環道以南で発生する渋滞は解消されません。
・周辺地域の開発支援
東埼玉道路沿線では、大規模な物流センターや大規模商業施設が立地しており、現在も新たな産業団地の開発が進んでいます。東埼玉道路が整備されることで、これらの開発を支援し、地域経済の活性化につながります。
・物流の効率化による生産性の向上
東埼玉道路専用部が整備されることで、円滑な物流を確保でき、千葉県湾岸地区方面から埼玉県東部地域へのアクセス性が向上することで、産業活動の生産性が向上します。
・アクセス性の向上
東埼玉道路専用部が整備されることで、高速道路ICへ15分以内に到着できる地域が広がります。また、専用部と外環道がつながるため、外環道を通じて東北道、常磐道など様々な高速道路へのアクセスが向上します。さらに、短距離移動の車両は一般部を走行し、長距離移動の車両は専用部を走行するといった機能分担がなされ、一般部の渋滞緩和につながります。
・災害時に機能する道路
近年の豪雨や台風では、国道4号において冠水による通行止めが発生し、長時間に渡って緊急車両やトラックが通行できなくなりました。東埼玉道路専用部が整備されることで、浸水が想定される区間を避ける道路ネットワークとして機能し、災害時の支援活動や物資輸送に役立ちます。
<主な課題>
・用地の取得が完了していないことから、用地取得完了が課題。
・起点の草加八潮IC/JCTから都心方面へ向かう道路が無く、ボトルネックとなる可能性があり、国道4号の外環道以南で発生する渋滞は解消されない。
・越谷春日部バイパスと並行する区間の構造検討と未事業化区間の事業スキームの決定が残り区間の事業化に向けた課題。
<まとめ>
・草加八潮IC/JCTから都心方面へ向かう道路が無く、ボトルネックとなることが予想される。また、国道4号の外環道以南で発生する渋滞は解消されない。
・一般部は全線で事業化されているが、専用部は未事業化区間が残るため今後の事業化が課題。
―以上―
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