今回は、阪神高速2号淀川左岸線について、国土交通省近畿地方整備局、大阪市、阪神高速道路株式会社のホームページ資料及びWikipediaの情報を基に検討します。
<概略>
阪神高速2号淀川左岸線は、大阪府大阪市此花区の阪神高速5号湾岸線 北港JCTから大阪府門真市ひえ島町の門真JCTへ至る阪神高速道路の路線です。海老江JCTから門真JCTまでの区間は事業中の路線です。
大阪の高速道路のネットワークは、1号環状線を中心として各路線が放射状に延びていいたため、それらの路線を行き来するには一度1号環状線を経由しなければなりませんでした。そのため、大阪中心部を経由する必要がない車が中心部に流入し、慢性的な渋滞を引き起こしていました。この問題を解決するため、2001年に「都市再生プロジェクト」が策定され、「大阪都市再生環状道路」の整備が決定されました。阪神高速2号淀川左岸線は、大阪都市再生環状道路の1区間として大阪都心部の慢性的な交通混雑の緩和に寄与する道路と位置付けられています。2020年に阪神高速6号大和川線が開通したことで、大阪都市再生環状道路の未開通区間は、阪神高速2号淀川左岸線を残すのみとなっています。
<結論>
・淀川左岸線(2期)区間は2025年シャトルバス用に供用、2026年度末に一般供用予定。
・淀川左岸線延伸部区間の供用目標である2032年度は確定目標ではない。
<ルート>
阪神高速2号淀川左岸線は、以下の様なルートです海老江JCT以降は事業中の区間です。
起点:大阪府大阪市此花区北港(北港JCT)
終点:大阪府門真市ひえ島町(門真JCT)
事業中区間
淀川左岸線(2期)起点:大阪府大阪市此花区高見(海老江JCT)
淀川左岸線(2期)終点:大阪府大阪市北区豊崎(豊崎出入口)
淀川左岸線延伸部起点:大阪府大阪市北区豊崎(豊崎出入口)
淀川左岸線延伸部終点:大阪府門真市ひえ島町(門真JCT)
路線延長:18.7km(事業中区間:淀川左岸線(2期)4.4km、淀川左岸線延伸部8.7km)
料金:有料
供用中又は計画されているJCT及び出入口は以下の通りです。
北港JCT(5号湾岸線に接続):既設
淀川左岸舞洲出入口(海老江方面出入口):既設
ユニバーサルシティ出口(北港方面からの出口):既設
島屋出入口(北港方面出入口):既設
正蓮寺川出入口(海老江方面出入口):既設
大開出入口(北港方面出入口):既設
海老江JCT(3号神戸線の神戸方面に接続):既設
海老江北出入口(豊崎方面出入口):事業中
大淀出入口(北港方面出入口):事業中
豊崎出入口(両方面へ出入可能):事業中
内環出入口(門真方面出入口):事業中
門真西出入口(北港方面出入口):事業中
門真JCT(近畿自動車道に接続):既設
<事業中区間の構造>
事業中区間は、門真西出入口付近を除く全区間で開削トンネル又はシールドトンネル構造で建設される計画であり、標準構造は以下の様になっています。
・淀川左岸線(2期)区間(海老江JCT~豊崎出入口)
道路規格:第2種第2級
設計速度:60km/h
道路幅員:8.5m×2
車線数:4車線
・淀川左岸線延伸部区間(豊崎出入口~門真JCT)
道路規格:第2種第2級
設計速度:60km/h
道路幅員:17.25m(明かり区間)8.5m×2(トンネル区間)
車線数:4車線
<事業主体>
淀川左岸線(2期)区間:大阪市及び阪神高速道路株式会社
淀川左岸線延伸部区間:国土交通省近畿地方整備局、西日本高速道路株式会社及び阪神高速道路株式会社
<整備効果>
・交通の円滑化
阪神高速では都心部を避けるルートがなく、交通が集中し渋滞しています。大阪都市圏の外周をネットワーク化することで都心部に用事のない交通を外周に転換し、交通を円滑にします。
・迂回機能の確保
都市高速においては渋滞時に事故が発生しやすく、東大阪線では都市高速における渋滞損失時間が全国ワースト4位(※)です。また、大阪港線では事故が年間377件も発生しています。 淀川左岸線の整備により通行規制時の迂回路としての機能はもちろん、災害時の避難・救護活動を支える広域的な輸送ルートとしての機能が期待されます。
※国土交通省公表資料 都市高速道路の交通状況ランキング(H31・R1年)
・地域の活性化
貨物の取扱量・物流施設が増加し、臨海部と内陸部間の物流が年々増加しています。臨海部と内陸部間の物流ネットワークが新たに整備されることにより、物流が効率化。沿線地域への新たな企業進出等、地域経済の活性化が期待されます。
<進捗>
・淀川左岸線(2期)区間
全ての区間で着工しており、淀川の堤防下にトンネルを埋設する工法のため、用地収用が必要な個所も少なく、2025年の万博用シャトルバス向けの供用及び2026年度末の一般供用開始に向けた大きな障害は無いと見られる。
・淀川左岸線延伸部区間
2017年度に事業化した区間であり、現在は測量・調査及び設計が行われています。技術検討委員会ではトンネル施工方法の検討が続いており、用地収用も始まっていないことから、供用目標である2032年度に供用開始できる見通しは立っていない。
<まとめ>
・淀川左岸線(2期)区間は全区間で着工しており、目標としている2025年のシャトルバス向け供用及び2026年度末の一般供用に大きな障害は無いとみられる。
・淀川左岸線延伸部区間は、技術検討委員会でトンネル施工方法の検討が続いており、未着工のため供用目標である2032年度に間に合う見通しは立っていない。
―以上―
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