大阪湾岸道路西伸部【神戸港に2つの長大橋】

 今回は、2016年度に事業化され2018年度に着工した大阪湾岸道路西伸部について、近畿地方整備局のホームページ資料、阪神高速道路株式会社のホームページ資料及びWikipediaの情報を基に検討します。

<概略>

 大阪湾岸道路は、神戸淡路鳴門自動車道の垂水(たるみ)JCTから関西空港自動車道のりんくうJCTに至る延長約80 kmの自動車専用道路です。地域高規格道路の計画路線として、阪神高速道路4号湾岸線、5号湾岸線、そして、六甲アイランド北から名谷(みょうだに)JCT間の5号湾岸線の延伸路線が大阪湾岸道路西伸部として指定されています。

大阪湾岸道路西伸部のうち、六甲アイランド北から(こま)()間は、神戸市東灘区から長田区に至る延長14.5kmのバイパス事業として2016年度に事業化されています。阪神臨海地域の交通負荷を軽減し、交通渋滞や沿道環境などの交通課題の緩和を図るとともに、国際戦略港湾である阪神港の機能強化による物流の効率化、災害や事故などの緊急時の代替機能確保等を目的としています。現在は、調査設計、用地取得、橋梁下部工事を推進しています。

<結論>

・計画中区間の事業化の目途は無い。

・事業中区間に不確定要素はいくつかあるが、完成に向けた大きな障害は無い。

<ルート>

大阪湾岸道路西伸部は、以下の様なルートに建設される計画です。

起点:兵庫県神戸市東灘(ひがしなだ)向洋町(こうようちょう)東(六甲アイランド北出入口)

終点:兵庫県神戸市垂水(たるみ)下畑町(しもはたちょう)名谷(みょうだに)JCT)

事業区間起点:兵庫県神戸市東灘区向洋町(こうようちょう)東(六甲アイランド北出入口)

事業区間終点:兵庫県神戸市長田区西尻池町(にししりいけちょう)(こま)()出入口)

路線延長:20.9km(事業化区間:14.5km)

料金:有料

計画されているJCT及び出入口は以下の通りです。

六甲アイランド北出入口(大阪方面出入口):既設

六甲アイランド西出入口(垂水方面出入口):事業中

ポートアイランド東出入口(大阪方面出入口):事業中

ポートアイランド西出入口(垂水方面出入口)事業中

南駒栄JCT(駒栄出入口と神戸山手線に大阪方面のみ接続):事業中

駒ヶ林(こまがばやし)南出入口(垂水方面出入口):計画中

料金所(大阪方面):計画中

名谷JCT(第二神明道路に接続)計画中

<構造>

 事業中区間は神戸山手線接続部の一部を除く全区間で、高架又は橋梁の構造で建設される計画であり、標準構造は以下の様になっています。

道路規格:第2種第1級(本線部)、第2種第2級(神戸山手(やまて)線接続部)

設計速度:80km/h(本線部)、60km/h (神戸山手(やまて)線接続部)

道路幅員:26.75m

車線数:6車線(本線部)、4車線 (神戸山手(やまて)線接続部)

<事業主体>

国土交通省近畿地方整備局及び阪神高速道路株式会社

<整備効果>

・移動時間の短縮

 西伸部の整備により、国際戦略港湾・阪神港や関西国際空港などの物流拠点への移動時間が短縮され、物流の効率化が図られます。

・代替路の確保

 西伸部の整備により、代替路の確保が可能となり、交通事故等で阪神高速3号神戸線が通行不能となった場合や、通行規制が行われた場合には、一般道への交通集中が緩和されます。

・地域の活性化

 西伸部の整備により、利便性が向上し、更なる最先端医療拠点への企業進出等による地域経済活性化が期待されます。

<進捗>

・長大橋の橋梁形式の選定(2019年12月)

新港・(なだ)(はま)航路部の橋梁形式:連続斜張橋を選定

●維持管理性が高い

・地震時に損傷リスクの高い桁端部が少ない

・桁端部が陸上に近接した箇所に存在し、緊急点検時のアクセス性や修復性に優れる

・国際航路間の中央海上橋脚が無く、点検・補修が容易である

●景観性に優れる

・2つの人工島を結ぶ一本の線として連続性を有する

●地震動や地盤変位に対する構造冗長性が高い

※ただし、断層上の堆積層に見られる地層の傾斜(とう曲)範囲に位置する3P主塔基礎については、今後、詳細な検討により安全性を確認する

神戸西航路の橋梁形式:1主塔斜張橋(ポートアイランド側主塔)を選定

●維持管理性が高い

・一般的に点検が困難である主塔が1本である

●景観性に優れる

・主塔が1本であることにより、デザイン性が高い

●不測の事態に対するリスクが相対的に最も小さい

・断層上の堆積層にみられる地層の傾斜(とう曲)を避けた位置に主塔を配置

・工事進捗(2028年頃の完成を見込む)

六甲アイランド内:2020年度より、高架橋下部工事を実施。

六甲アイランド~ポートアイランド海上部:2020年度から設計や施工の検討に必要な調査を実施。

ポートアイランド内:2020年度より、臨港道路の一部中央分離帯の植栽移設等を実施。

引き続き、環境調査を行い陸上高架橋の設計を行いながら地元、関係機関と設計協議を実施。

ポートアイランド~和田岬海上部:2017年度より、海上部の地質調査等を実施。

和田岬~駒栄:2021年度は、高架橋の調査設計、開削トンネル工事を実施。

・計画中区間の事業化の目途は無い。

<まとめ>

・懸案となっていた長大橋の形式が決定。

・ポートアイランド内の陸上高架橋設計協議及び新港・灘浜航路部の主塔基礎の安全性確認が不確定要素として残る。

・計画中区間の事業化の目途は無い。

―以上―

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