今回は上尾道路の一般部について、国土交通省関東地方整備局のホームページ資料とWikipediaの情報を基に検討します。自動車専用道路部分については、新大宮上尾道路として以前に検討しておりますので、そちらを参照いただけますと幸いです。
<概略>
上尾道路は、埼玉県さいたま市西区から埼玉県鴻巣市に至る道路で、新大宮バイパス、熊谷バイパス、深谷バイパス、上武道路と共に国道17号のバイパス道路を構成しています。都市計画道路としては上尾バイパスの名称になっています。さいたま市の宮前ICで新大宮バイパス、鴻巣市の箕田交差点で熊谷バイパスと連結しています。国道17号の交通渋滞を解消し、生活環境の改善を図ること等を目的として計画された道路です。中央部分には別途、高速道路の計画があり、新大宮バイパスの中央部分と合わせ、新大宮上尾道路として地域高規格道路の計画路線に指定されています。今回は一般道路部分のみを取り上げます。
<結論>
・暫定2車線区間の4車線化には、相当の時間を要する。
・2期区間の工事は北本市での環境調査が今後の進捗のカギを握る。
<ルート>
上尾道路は、以下のルートに建設される計画です。
起点:埼玉県さいたま市西区宮前町(宮前IC)
終点:埼玉県鴻巣市箕田(箕田交差点)
1期起点:埼玉県さいたま市西区宮前町(宮前IC)
1期終点:埼玉県桶川市川田谷(桶川北本IC北側)
2期起点:埼玉県北本市石戸宿(桶川北本IC北側)
2期終点:埼玉県鴻巣市箕田(箕田交差点)
全長:20.1 km
<現状>
4車線開通区間:さいたま市西区宮前町(宮前IC) – 上尾市小敷谷地先
桶川市川田谷地先 – 桶川市川田谷(桶川北本IC)
暫定2車線開通区間:上尾市小敷谷先地 – 桶川市川田谷地先
桶川市川田谷(桶川北本IC) – 桶川市川田谷地先
2期事業中区間:埼玉県北本市石戸宿 – 鴻巣市箕田地先
2021年度の事業:上尾市領家地区の用地取得、環境整備など。
鴻巣市箕田地区改良、跨線橋上下部工事、登戸、滝馬室地区の用地取得。
<構造>
上尾道路一般部分の標準構造は以下の様になっています。事業化当初の幅員は23mの計画でしたが、後に都市計画幅員の57mに変更されています。
区分:第4種1級
設計速度:60km/h
幅員:57m
車線数:4車線
<事業主体>
国土交通省関東地方整備局
<効果>
・交通混雑の緩和
国道17号の交通を上尾道路に転換し、主要渋滞ポイント(吉野町交差点、愛宕町交差点、坂田交差点、天神2交差点)等の交通混雑の緩和を図ります。
・沿道環境の改善
上尾道路の整備により、国道17号の交通混雑が緩和し、沿道環境(騒音・大気質)の改善が期待されます。また、地域のコミュニケーション空間としてボランティアサポート活動を行うなど、快適な地域づくりに貢献します。
・移動時間の短縮
上尾道路を利用することにより、埼玉県北部地域と県央地域間の移動が大幅に短縮します。また、スポーツ・文化活動、経済活力の増進が期待できます。
・道路ネットワークの形成
上尾道路は、埼玉県中央地域での南北の交通軸を形成するとともに、圏央道と連携することにより、県内外の主要都市との連絡が強化され、地域間の交流の活発化が期待されます。
<主な課題>
1期区間
・暫定2車線区間の4車線化
暫定2車線区間にある江川地区では、希少植物が生育しているため環境保全対策の検討が行われました。境保全対策の取り組み方針は決定していますが、4車線化に向けた詳細な工事内容について市民団体と合意出来ていないため、着工の見通しは立っていません。
2期区間
・埋蔵文化財の発掘
鴻巣市や北本市の道路予定地では遺跡埋蔵地域が多数あり、今後、発掘調査が計画されています。このため、発掘調査の進捗が道路の開業時期に影響を与えると考えられます。
・環境保護対策
国土交通省関東地方整備局大宮国道事務所により環境調査が北本市で行われており、この結果を受けて用地収用や着工日程が決まるとみられる。
<まとめ>
・1期区間にある暫定2車線区間の4車線化は、用地収用の費用は計上されているが、環境保全に対する不確定要素があり、着工はかなり先とみられる。
・2期区間は、北本市の環境調査が今後の進捗のカギを握るとみられる。
―以上―
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