多摩都市モノレール【箱根ヶ崎延伸】

 今回は2020年1月23日に、東京都が延伸事業に着手することを正式に発表した多摩都市モノレールの、上北台から箱根ヶ崎間の延伸事業についてWikipediaや関係自治体のHP等の情報を基に検討します。

<概略>

 1981年度に発表された多摩都市モノレールの構想路線は現営業区間も含めると約93kmあり、このうち上北台駅から箱根ヶ崎方面、多摩センター駅から町田および八王子方面への延伸が検討されています。その中でも上北台から箱根ヶ崎間の延伸事業は、用地の確保が進んでおり鉄道空白地帯解消のために沿線自治体からの要望が強い路線となっています。多摩地域は23区に比べて鉄道網の不足が指摘されており、小池百合子東京都知事は16年の都知事選で「多摩格差ゼロ」を公約に掲げていました。これらを受けて、2020年1月23日に、東京都は本テーマで取り上げる上北台から箱根ヶ崎間の延伸事業に着手することを正式に発表しました。開業時期は未定ですが、2032年頃を目指して新たに7駅を設置する予定であり、建設費は約800億円と試算されています。

<結論>

・導入空間の道路整備は進んでおり、着工に向けた大きな障害は無いとみられる。

<ルート>

 多摩都市モノレールの箱根ヶ崎方面延伸は、上北台駅から箱根ヶ崎駅までの間にある新青梅街道上空に路線を建設する計画です。箱根ヶ崎駅を含め7つの新しい駅ができる予定となっています。新駅の場所は、詳細位置が決定していないため正式な場所は不明ですが、多摩っぷホームページ等によると、以下の7箇所の付近に駅を建設する構想です。

1,学園三丁目交差点付近

2,村山医療センター北交差点付近

3,本町(ほんまち)1丁目交差点付近

4,三ツ木(みつぎ)交差点付近

5,(せい)(がん)(ばし)東交差点付近

6,瑞穂武蔵地区

7,箱根ヶ崎駅付近

<事業主体>

・インフラ部   東京都建設局

・インフラ外部  多摩都市モノレール(株)

 開業している多摩センターから上北台までの区間は、東京都建設局が支柱や軌道桁などのインフラ部を、多摩都市モノレール株式会社が運営基地や変電所、車両などに関わる部分を、それぞれ負担して建設しました。運行は、多摩都市モノレール株式会社が行っています。延伸部分もこの役割分担が踏襲されるとみられます。

<仕様>

・区間     多摩センター駅~上北台駅〔開業部(延長約16km)〕

        上北台駅~箱根ヶ崎駅  〔延伸検討部(延長約7km)〕

・輸送システム 跨座(こざ)型モノレール

・定員     416人(4両編成)

・表定速度   約27km/h

・所要時間   約36分(多摩センター駅~高幡不動駅間約13分、高幡不動駅~立川北駅間約11分、立川北駅~上北台駅間約12分)

<事業採算性>

・総事業費:800億円

・輸送密度:12.4~12.3千人/日

・B/C費用便益比:1.1~1.0

・累積資金収支黒字転換年:1年

費用便益比は高くないが、黒字化年度は早いため、事業性は高いとみられます。

<効果>

・輸送力・速達性・定時性の向上、交通ネットワーク形成

○定時性のある中量輸送で接続し、快適な移動が実現

 ⇒確実性をもってより遠くへ移動、より遠くから快適に来訪可能

○駅においてバス路線や自転車などと連携可能

⇒駅を中心に地域の交通ネットワーク形成・交通利便性向上

・駅新設による拠点・都市軸・市街地形成

○地域の拠点となる新駅の設置

⇒目的地への主なアクセスが車から徒歩に転換することで、新たな人の流れや回遊によるにぎわい創出が期待

⇒人が集まる駅や沿道へ都市機能(商業・公共施設等)が集積

○モノレールの導入空間(広幅員道路)とともに都市軸を形成

⇒拠点や都市軸と整合した区画整理事業などの周辺開発

⇒周辺の都市基盤の整備

・モノレール沿線間の交流・連携の促進

○バスとの乗換えなしで行き来可能になり、移動の時間的・心理的負担が低減

⇒企業立地や観光などによる新たな来訪者が期待

○開業区間が延伸されることによる新たな「モノレール沿線」の創出

⇒沿線に立地する都市機能(商業・公共施設等)の相互利用

⇒延伸区間の注目度・知名度向上が期待

<進捗と課題>

・導入空間の道路整備には一定のめどがついている。

・延伸の基本計画を作成中。事業詳細計画の作成が今後の課題。

・駅設置場所は未確定。

<まとめ>

・導入空間の道路整備は進んでおり、着工に向けた大きな障害は無い。

・地元と協議のうえ、駅の設置場所を確定させる必要がある。

-以上-

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