高速横浜環状南線(開通への見通しは?)

 今回は、工事が本格化した横浜環状南線について、国土交通省関東地方整備局ホームページの資料とWikipediaの情報を基に検討します。

<概略>

 横浜環状南線は、神奈川県横浜市金沢区の釜利谷JCTから神奈川県横浜市戸塚区の戸塚ICを結ぶ自動車専用道路の事業名称です。横浜環状道路の南側区間であるとともに、首都圏中央連絡自動車道(圏央道、国道468号)の一部を構成します。神奈川県内で圏央道を構成する横浜湘南道路、さがみ縦貫道路、新湘南バイパスと一体となって整備される道路であり、2025年度に開通を予定しています。また、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構と東日本高速道路株式会社との協定では横浜横須賀道路の一部とされています。高速道路ナンバリングによる路線番号は、圏央道の一部を構成している釜利谷JCT – 栄IC・JCT間が「C4」、栄IC・JCT – 戸塚IC間が「E66」となっています。全体の約7割の区間が地下あるいは掘割構造となっており、工事期間中の周辺環境への影響を軽減するため、多くのトンネルでシールド工法が採用されています。

<結論>

・開通へ向け大きな障害は無い。

・非開削工法へ変更した個所の費用対効果の検証を工事後に実施すべき。

<ルート>

 高速横浜環状南線は、以下の様な構成となっている。

起点 : 神奈川県横浜市金沢区(かま)利谷町(りやちょう)

終点 : 神奈川県横浜市戸塚区汲沢町(ぐみさわちょう)

全長 : 8.9km

設計速度 : 80km/h

車線数 : 6車線(栄IC・JCT−戸塚ICは暫定2車線)

<効果>

・時間短縮

 東名高速や中央道に直結し、所要時間が大幅に短縮されます。さらに関越道、東北道方面にもつながります。(横浜港と首都圏内陸部との所要時間が短縮され、物流の効率が良くなり、地域間の交流や沿線の企業進出などの、経済効果が見込まれます。)

・災害時の緊急輸送路1

 災害時に緊急輸送路としての役割が期待されます。また迂回路、代替輸送路としても機能します。(地震や台風などの災害時には、東名高速道路や横浜横須賀道路などと一体となって、被災者支援のための物資の輸送や、被災地へ向かう緊急車両の緊急輸送路としての役割が期待されます。また、災害で道路が寸断された場合の迂回路、代替輸送路としての役割も果たします。)

・災害時の緊急輸送路2

 現在想定されている津波の大きい地震が発生した場合にも、緊急輸送路としての役割が期待されます。(津波の大きい地震が発生し、沿岸部が浸水被災した場合に、圏央道や横浜横須賀道路などを緊急輸送路として利用した「くしの歯」作戦などにより、沿岸部の救援ルートの確保が可能になります。)

・沿線地域の環境改善

 CO2の削減など、沿線地域の環境改善が期待されます。(車から出る窒素酸化物(NOX)、浮遊粒子状物質(SPM)、二酸化炭素(CO2)の排出量は、走行速度と大きく関連しています。多くの車が横浜環状南線を利用するようになると、交通もスムーズになり、走る車の平均走行速度が向上。NOX、SPM、CO2の排出量が削減され、沿線の環境改善が期待されています。)

<主な課題>

・トンネル施工の安全確保

 工事中の地表への影響を低減するため、(しょう)()地区での施工方法を開削工法から非開削工法へ変更しました。これに伴い、低土被り部においてより安全に施工するための検討を実施し、導坑の円形化と補助工法の範囲追加により地山変位を防止することとし、工事が進められています。今のところ、2025年度の開通に障害とはなっていません。

しかし、非開削工法へ変更したことで工事費は大幅に増加しており、開削工法で上部に仮設の覆いを建設した場合と比較して、費用対効果で優位性があったかどうか工事後に検証すべきと考えます。

・事業用地の収用

 2020年11月に横浜市栄区飯島町(いいじまちょう)で用地買収が難航していた個人宅について、土地収用法に基づき解体撤去する行政代執行が神奈川県によって着手され、用地収用問題に一定の解決が見られました。

<まとめ>

・全区間で工事が着手され、用地収用の目途が立ったことから2025年の開通に向けて大きな障害は無いものとみられる。

・開削工法から非開削工法へ変更した庄戸地区の施工方法は、工事後に費用対効果の検証が求められる。

―以上―

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