今回は、2021年6月29日にシールドマシンの掘進再開が発表された横浜湘南道路について、国土交通省関東地方整備局ホームページの資料とWikipediaの情報を基に検討します。
<概略>
横浜湘南道路は、神奈川県横浜市栄区田谷町の栄IC/JCTから藤沢市城南一丁目の藤沢IC付近を結び圏央道(国道468号)の一部を構成する自動車専用道路(高規格幹線道路)です。神奈川県内で圏央道を構成する高速横浜環状南線、さがみ縦貫道路、新湘南バイパスと一体となって整備される道路であり、2024年度の開通に向けて事業中です。高速道路ナンバリングによる路線番号は圏央道の「C4」が割り振られています。
新湘南バイパスと建設中の横浜環状南線を結ぶ国道1号など主要道路の両市内における慢性的な交通渋滞を解消する事が期待されています。事業主体は、国土交通省と東日本高速道路株式会社で、起点の栄IC/JCT、終点の藤沢IC付近を除き地下構造となっており、藤沢バイパス直下に建設されています。
<結論>
・難工事の施工が残っており2024年度の開通に不確定要素はまだ残る。
・2025年開通予定の高速横浜環状南線が開通しなければ、完成による効果は限定的。
<ルート>
横浜湘南道路は以下の様な構成となっている。
起点 : 神奈川県横浜市栄区田谷町
終点 : 神奈川県藤沢市城南一丁目
設置されるIC及びJCT:栄IC/JCT、藤沢IC
全長 : 7.5 km(藤沢IC改良部分の距離も含む。)
設計速度 : 80 km/h
車線数 : 4車線
<効果>
・交通の流れの適正化
高速横浜環状南線、さがみ縦貫道路、新湘南バイパスと一体となって、東名高速道路や、新東名高速道路と東京湾岸地域の連携強化を図ります。また、地域を通過する交通が横浜湘南道路へ適切に誘導され、幹線道路の混雑緩和、生活道路の機能回復や交通事故の減少等、交通の適正化が期待されています。
・物流、都市拠点の連絡強化
高速横浜環状南線やさがみ縦貫道路等とともに、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の一部となり、横浜、厚木などの業務核都市をはじめとする中核的な都市を連絡することで、生活における行動範囲を広げるとともに、周辺地域の産業なのどの発展にも貢献します。また、我が国の国際競争力強化のため、国際コンテナ戦略港湾や国際空港を支えるネットワークを構築し、物流の効率化にも貢献します。
・災害時における緊急輸送道路として活用
災害などにおいて消防、緊急活動などの速やかな対応を図るための緊急輸送道路としての役割を果たします。
これらの効果は、高速横浜環状南線が開通しなければ、十分な効果を得られないと考えられます。
<主な課題>
・近接施工における施工管理
トンネルの離隔が約40cmと狭い区間があるため、近接施工区間を安全に工事するための対策として、先行トンネル内への支持装置の設置や、計測管理を実施します。
・可燃性ガス(メタンガス)への対応
地中接合部周辺の地中には可燃性ガスの存在が判明しており、地中接合時の作業において、可燃性ガス流入経路の遮断や可燃性ガスの希釈、監視等に配慮した施工を計画。
・シールドマシン支障物(鋼材)接触事象
支障物の除去が完了し、2021年6月29日にシールドマシンの掘進再開を発表。
<まとめ>
・境川付近の支障物撤去が完了し、シールドトンネルの掘進再開を発表。
・近接施工や可燃性ガス対策施工などの難工事が残っており2024年度の開通には不確定要素がまだ残っている。
・2025年開通予定の高速横浜環状南線が開通しなければ、横浜湘南道路の完成による効果は限定的。
―以上―
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