今回は復興道路の最終回として、東北中央自動車道の相馬 – 福島間(相馬福島道路)について、国土交通省東北地方整備局福島河川国道事務所の地域事業の紹介資料に基づき検討します。
相馬福島道路は、常磐自動車道と東北自動車道を結ぶ高規格幹線道路(自動車専用道路)です。福島県相馬市の相馬ICを起点とし、福島県伊達郡桑折町の桑折JCTを終点としています。2021年4月24日に霊山IC – 伊達桑折IC間が開通したことにより、全線開通しました。
<結論>
交通量に見合った構造(完成2車線)の道路となっている。寒冷地対策したRC床版の実績評価が待たれる。
<ルート>
相馬福島道路は、相馬ICから桑折JCTに、以下のような道路名称が付けられている。
相馬西道路(無料):相馬IC – 相馬山上IC
完成2車線 設計速度:80 km/h 制限速度:80 km/h
阿武隈東道路(無料):相馬山上IC – 相馬玉野IC
完成2車線 設計速度:80 km/h 制限速度:80 km/h
阿武隈東 – 阿武隈間(無料):相馬玉野IC – 霊山飯舘IC
完成2車線 設計速度:80 km/h 制限速度:80 km/h
霊山道路(無料):霊山飯舘IC – 霊山IC
完成2車線 設計速度:80 km/h 制限速度:80 km/h
霊山 – 福島間(無料):霊山IC – 桑折JCT
完成2車線 設計速度:80 km/h 制限速度:80 km/h
・桑折料金所付近の制限速度
伊達桑折IC – 桑折JCT料金所:60 km/h
桑折JCT料金所 – 桑折JCT:40 km/h
<道路管理者>
相馬IC – 桑折JCT料金所 国土交通省 東北地方整備局
桑折JCT料金所 – 桑折JCT NEXCO東日本 東北支社
<効果>
・並行する国道115号線の通行止めリスクの低減。
・相馬 – 福島間の救急搬送時間短縮(約25分)と安定性向上。
・沿線地域で東日本大震災以降の企業投資が活発化。(51件の工場新増設件数、2,032億円の設備投資額を記録)
・広域ネットワーク形成による活発な観光交流を支援。
<取り組み>
最後に、相馬福島道路の取り組みについて見ていきます。相馬福島道路は寒冷地にあるため冬季に凍結防止剤の散布が実施されています。
凍結防止剤による塩害対策として、防さび鉄筋を使用しています。凍結によるひび割れを防ぐ凍害対策として、空気量目標値を約5%に設定しています。空気量は高いほど凍害対策に有効ですが、高くしすぎるとコンクリートの強度が低下するため5%程度が適正値です。凍結防止剤によるアルカリシリカ反応によって、コンクリートの劣化が進展することを防ぐためアルカリと反応しにくい高炉セメントを使用しています。また、ひび割れや浸透によるコンクリートの土砂化を防ぐため、水結合材比を下げることでコンクリートの緻密性を向上させる事を目的として、水結合材比を45%以下にして施工しています。
・塩害対策:防錆鉄筋を使用
・凍害対策:空気量目標値を約5%に設定
・ASR(アルカリシリカ反応)対策:高炉セメント使用
・RC床版の土砂化対策:水結合材比≦45%
これらの取り組みの効果が今後評価され、将来に生かされることを望みます。
―以上―
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