今回は、先月全線開通した三陸縦貫自動車道について見ていきます。三陸縦貫自動車道は宮城県仙台市の仙台港北ICから岩手県宮古市の田老北ICを結ぶ道路で三陸北縦貫道路、八戸久慈自動車道と一体となって三陸沿岸道路を構成し、道路名は三陸自動車道が用いられています。この道路は復興道路の一部となっており、津波避難場所や避難ルートとして活用できるように設計されている箇所もあります。三陸北縦貫道路、八戸久慈自動車道は次回取り上げたいと思います。
<結論>
他の地方路線計画の参考として実績評価が待たれる。制限速度の統一も今後の課題。
<ルート>
気仙沼道路の気仙沼港IC – 唐桑半島IC 間が2021年3月6日に開通したことで全線開通を見ました。仙台港北ICから田老北ICまでの区間で、以下の様な事業名称がつけられています。
仙塩道路(有料):仙台港北IC – 利府中IC
完成4車線(一部6車線) 設計速度:100km/h 制限速度:100km/h
仙台松島道路(有料):利府中IC – 鳴瀬奥松島IC
完成4車線 設計速度:80km/h 制限速度:80km/h(利府中IC – 松島北IC)
完成4車線 設計速度:100km/h 制限速度:100km/h(松島北IC – 鳴瀬奥松島IC)
矢本石巻道路(無料):鳴瀬奥松島IC – 桃生豊里IC
完成4車線 設計速度:100km/h 制限速度:100km/h
桃生登米道路(無料):桃生豊里IC – 登米IC
暫定2車線 設計速度:100km/h 制限速度:70km/h
登米志津川道路(無料):登米IC – 志津川IC
完成2車線 設計速度:80km/h 制限速度:70km/h(登米IC – 三滝堂IC)
完成2車線 設計速度:80km/h 制限速度:80km/h(三滝堂IC – 志津川I IC)
南三陸道路(無料):志津川IC – 歌津IC
完成2車線 設計速度:80km/h 制限速度:80km/h
歌津本吉道路(無料):歌津IC – 本吉津谷IC
完成2車線 設計速度:80km/h 制限速度:80km/h
本吉気仙沼道路(無料):本吉津谷IC – 気仙沼中央IC
完成2車線 設計速度:80km/h 制限速度:80km/h(本吉津谷IC – 大谷海岸IC)
暫定2車線 設計速度:80km/h 制限速度:80km/h(大谷海岸IC – 気仙沼中央IC)
気仙沼道路(無料):気仙沼中央IC – 唐桑半島IC
完成2車線 設計速度:80km/h 制限速度:80km/h
唐桑道路(無料):唐桑半島IC – 唐桑小原木IC
暫定2車線 設計速度:80km/h 制限速度:70km/h
唐桑高田道路(無料):唐桑小原木IC – 陸前高田IC
完成2車線 設計速度:80km/h 制限速度:80km/h
高田道路(無料):陸前高田IC – 大船渡碁石海岸IC
暫定2車線 設計速度:80km/h 制限速度:70km/h
大船渡三陸道路(無料)大船渡碁石海岸IC – 三陸IC
暫定2車線 設計速度:80km/h 制限速度:70km/h
吉浜道路(無料):三陸IC – 吉浜IC
暫定2車線 設計速度:80km/h 制限速度:70km/h
吉浜釜石道路(無料): 吉浜IC – 釜石JCT
完成2車線 設計速度:80km/h 制限速度:80km/h
釜石山田道路(無料):釜石JCT – 山田南IC
完成2車線 設計速度:80km/h 制限速度:70km/h(釜石JCT – 釜石両石IC)
暫定2車線 設計速度:80km/h 制限速度:70km/h(釜石両石IC – 釜石北IC)
完成2車線 設計速度:80km/h 制限速度:80km/h(釜石北IC – 山田南IC)
山田道路(無料):山田南IC – 山田IC
暫定2車線 設計速度:80km/h 制限速度:70km/h
山田宮古道路(無料):山田IC – 宮古南IC
完成2車線 設計速度:80km/h 制限速度:80km/h
宮古道路(無料):宮古南IC – 宮古中央IC
暫定2車線 設計速度:80km/h 制限速度:70km/h
宮古田老道路(無料):宮古中央IC – 田老北IC
完成2車線 設計速度:80km/h 制限速度:80km/h
<道路管理者>
仙台港北IC – 利府中IC:東日本高速道路株式会社 東北支社仙台管理事務所
利府中IC – 鳴瀬奥松島IC:宮城県道路公社
鳴瀬奥松島IC – 陸前高田長部IC:国土交通省 東北地方整備局 南三陸沿岸国道事務所三陸道維持出張所
陸前高田長部IC – 山田南IC:国土交通省 東北地方整備局 南三陸沿岸国道事務所 大船渡維持出張所
山田南IC – 宮古北IC:国土交通省 東北地方整備局 三陸国道事務所 宮古西維持出張所
宮古北IC – 田老北IC:国土交通省 東北地方整備局 三陸国道事務所 宮古維持出張所
<課題>
・制限速度が区間内で目まぐるしく変化する。
(理由)
主に暫定2車線として建設された区間は中央分離帯がポールなどの脆弱な構造物のため、制限速度が70km/hとされている区間が多い。
主に完成2車線として建設された区間は中央分離帯がガードレールやコンクリートブロックなどの強固な構造物のため、制限速度が80km/hとされている区間が多い。
<まとめ>
・山陰自動車道区間でも問題になっている制限速度の統一が今後の課題として取り上げられる可能性は高い。
・運用開始後の経済効果を実測評価し、他の地方路線建設計画の参考として生かしていくべき。
―以上―
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