今回は、先週に引き続き大分市が作成した豊予海峡ルート調査業務概要版から、鉄道部分の調査結果について検討します。道路部分につきましては先週検討しておりますのでそちらも参照いただけますと幸いです。先週も説明しましたが、豊予海峡ルートは、愛媛県と大分県を結ぶルートで愛媛県伊方町の佐多岬と大分県大分市の関崎との間にある豊予海峡をトンネル又は橋梁で結ぼうとする構想です。
<結論>
四国新幹線の建設が前提となっており、単独のプロジェクトとしては成り立たない。
<調査の位置づけ>
・目的:豊予海峡ルートの実現に向けた方策を探るために実施。
・調査主体:大分市企画部企画課
・期間:2016~2019年度
・予測年次:2040年供用開始
<前提条件>
・単価設定
トンネル&陸上部分:九州新幹線の実績を参照
橋梁:明石海峡大橋の実績を参照
・鉄道運行条件
四国新幹線の岡山⇔高知間及び、徳島⇔高松⇔松山間が開通
岡山⇔大分間 16本/日 (速達8本、緩行8本)
岡山⇔高知間 16本/日 (速達8本、緩行8本)
岡山⇔高松間 39本/日
岡山⇔徳島間 16本/日 (速達8本、緩行8本)
高松⇔高知間 16本/日 (速達8本、緩行8本)
徳島⇔大分間 16本/日 (速達8本、緩行8本)
その他の開通前提路線
九州新幹線(武雄温泉⇔長崎)
リニア中央新幹線(品川⇔大阪)
東九州新幹線(小倉⇔鹿児島中央)
<ルート>
豊予海峡鉄道ルートは、大分駅から松山駅の間に鉄道路線を引く計画で、全長は以下の通りになり、橋梁の方が若干長くなる計画です。
橋梁の場合:146km
トンネルの場合:144.9km
<事業費>
| 2車線 | 4車線
橋梁 | ― |1兆8,070億円
トンネル| 6,860億円| 9,630億円
<B/C>
1.19 (条件:単線、社会的割引4%)
<まとめ>
・前提条件として建設されるべき路線を全て建設できる可能性は低い。
・道路と同じくトンネルの見積もりは精度が低いとみられる。
⇒以上のことから、鉄道単独で事業採算性を確保する事は不可能と推測。
―以上―
コメント