今回は、JR羽田空港アクセス線の事業許可について検討しました。こちらの事業許可は1月20日に出たばかりですが、そろそろ古新聞になりつつありますので、現状についてまとめました。事業の進捗は、環境影響評価調査計画書がまとめられた段階で、これから環境影響評価を実施します。
羽田空港の利用者は、2009年の約62百万人から2019年の約87百万人まで10年で約1.6倍に増加しており、今後も安定して増加が見込まれるため、羽田空港アクセス線は将来収入増加を見込める路線です。
<結論>
都心唯一の成長路線、羽田空港アクセス旅客の取り合いへ号砲
(ほかの空港アクセス線建設も進む可能性)
<ルート>
ルートは、田町駅付近で東海道線から分岐して東京貨物ターミナルまでは大汐線を改良した路線を走ります。この区間は、田町駅付近を除いて明かり区間となります。東京貨物ターミナルから先は今回事業許可された区間で、地下トンネルで建設される計画です。羽田空港の駅は第1ターミナルと第2ターミナルの間に地下構造で建設され、1面2線15両編成まで対応するホームになる予定です。東海道線で東京駅へ乗り入れた後は、宇都宮線、高崎線、常磐線に直通する計画です。このルートは東山手ルートと呼ばれています。
<概要>
全長:約12.4km
事業費:約3,000億円
運行本数:8本/h
完成:2029年
所要:18分(羽田空港→東京駅間)
<将来構想>
・西山手ルート
りんかい線を経由して大崎駅に乗り入れ、新宿方面に直通するルートです。
・臨海部ルート
りんかい線を経由して東京テレポート駅に乗り入れ、新木場方面に直通するルートです。
・第3ターミナル延伸
今回建設される路線は、羽田空港第1ターミナルと第2ターミナルしかアクセスできませんが、第3ターミナル駅まで延伸する計画もあります。
<課題>
・第3ターミナルへのアクセス
前述の通り今回建設する路線は、第3ターミナルへ直接アクセスできないので、乗り換えが必要になります。利用者が混乱する恐れと、利用者の取りこぼしの恐れもあります。
・直通運転は、宇都宮、高崎、常磐方面のみ。
千葉方面や東京西部、神奈川方面への直通は実施しないため、直通運転の恩恵を置ける地域は限られます。バスとの競争力を強化するには、直通運転の範囲を広げる必要があります。
<その他の羽田空港アクセス鉄道構想>
・都心直結線
京成押上線の押上駅から新東京駅を経由して泉岳寺に至る路線で、泉岳寺駅から京急線に乗り入れます。JR羽田空港アクセス線が事業許可されたことで必要性は薄れましたが、リニアの品川開業後に成田空港と直結する意義は高いと考えます。
・新空港線
蒲蒲線とも呼ばれる路線で、東急多摩川線矢口渡駅付近から、東急蒲田駅、京急蒲田駅付近の地下を経由し、京急空港線大鳥居駅に至る路線です。東急線と京急線の線路幅が異なることから、軌間可変電車を走らせる構想もあります。
・京急空港線羽田空港第1・第2ターミナル駅引上げ線
京急空港線の羽田空港第1・第2ターミナル駅に引上げ線を建設し、駅を発着できる電車の本数を引き上げる構想です。
<まとめ>
首都圏鉄道会社が成長戦略を描く上で、空港旅客の取り込みが最重課題であると考えます。今後、首都圏の各鉄道会社がどの様な戦略を打ち出すのか、今後の行方に注目していきたいと考えています。
―以上―
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