今回は、東京8号線の豊洲駅から住吉駅までの区間について検討しました。この路線は、有楽町線を豊洲駅から分岐させて住吉駅に至る路線で、事業性も高く評価されており小池都知事就任前から着工の可能性が高い路線とされていましたが、未だに着工できていません。
<結論>
コロナ後に事業の再評価が行われ、着工可否が判断されるとみられる。
<ルート>
・有楽町線から豊洲駅で分岐して住吉駅へ直通し、中間駅は3駅設けられる予定です。
・路線延長:約5.2km
将来的に押上駅まで乗り入れて、野田市へ至るルートが計画されています。押上駅からは、8号線とは別に11号線として松戸駅に至るルートも計画されています。今回は、押上駅から先のルートについては取り上げません。
<事業概略>
・事業費:約1,560億円(税抜)
・建設期間:約10年
・費用便益比(B/C):2.6~3.0 (30年)
・輸送人員:約27.3~31.6万人/日
<現在の進捗状況>
・交通政策審議会答申(2016年4月)
事業間へ向けて関係者で合意形成を進めるべきとの答申が出される。
・東京8号線延伸の技術的検討に関する勉強会での主な議題
東陽町駅地下構造物の施工方法検討。
コロナ禍の影響検討。
構成機関:国土交通省鉄道局都市鉄道政策課、東京都都市整備局都市基盤部、東京地下鉄株式会社鉄道本部鉄道統括部
・基金積立
東京都:鉄道新線建設等準備基金 約760億円 (都内6路線で2020年度末)
江東区:地下鉄8号線建設基金 80億円 (2020年度末)
・事業スキーム
東京都:「東京メトロによる整備運行が合理的。」
東京メトロ:「事業主体として建設するのは副都心線が最後」
事業スキームに関して関係機関の主張が対立している事が、着工へ進めない一番の原因と考えられます。
<今後の予想>
コロナ後の再評価で必要性が認められれば、関係機関で事業スキームを合意して着工へ進むものと考えられるが、主張の隔たりから関係機関で事業スキームをまとめることは容易ではないため、政治決着が図られると予想。
―以上―
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